『素顔のままで』第17弾その2


久しぶりの撮影となった第17弾であるが、今回もまた今までと違った撮影が出来た。
これだけ長く同じコンビでやって行くには、当事者である私たちも見る側もマンネリ化してしまう
ことがシリーズの危機に繋がるわけだ。
だからと言って、そうならないように私が色々とまなちゃんに何かをヤラセ続けてもいいのだが、
それでは『素顔のままで』という本来のスタンスは保てないことになる。

そのためには、日頃から撮影以外での話の中から、まなちゃんのことを少しでも解りたいと思って
いる。しかし、根掘り葉掘り聞くことは好きではないので、自然にまかせているわけだ。
好奇心旺盛なまなちゃんは、いろんなものに興味を持ってくれるが、私もプランを持ちかける時は、
彼女が興味を持ってすんなり受け入れてくれなければ、私自身のやる気が失せてしまうのである。
逆に考えれば、まなちゃんの喜ぶ事を探し続けてきたとも言え、同時に普段どんな時にどんな表情
を見せてくれるかも、見つめ続けてきた。嬉しい時、楽しい時、わくわくする時、またその反対で
憂鬱な時も今思えばあった。

ただ、こう書いてみると私がご機嫌を取りながら撮影しているように思われるかもしれないが、そ
んなつもりは微塵も無いし、まなちゃんもそんなことを求めて『素顔のままで』をやっているわけ
では無い。もし、そうであればここまで続けてこれたとは思えないのである。

てな具合で、ようやく今年も撮影のスタートを切ったわけだが、どうやら私には最近のこのペース
があっているようで、多くのモデルを次々に撮るようなことには、何故か魅力を感じなくなってし
まっている。
私のことを羨ましいと思われたり、妬まれることもあったりするが、単にラッキーであると思われ
るのには抵抗がある。
多くのカメラマンが選ぶ道を私は敢えて捨てて、今の状況を選んだわけで、それなりに考えを持っ
てやっており、少数派の私が目立つだけなのだ。
確かに、まなちゃんをパートナーに出来た事は幸運であったと思っているが、それだけではないぞ
と言いたい。

前置きが長くなったが、日曜のスケジュールは、お昼過ぎまで買い物をして、隣で上機嫌のまなち
ゃんの案内で向かったのが、広島西飛行場の先にある観音マリーナで着替える前に3本ほど撮った
が、まだ日が短いこの時期だし、着替えてからの後半もあるので、後ろ髪を引かれる思いで撤収と
なった。いい買い物ができたまなちゃんが、ロールレフとGITZOの三脚をすぐに持とうとする
ので、慌てて三脚を担いだ私だった。

そこから10分ほどのまなちゃんの友達宅で着替えと髪型を変えての後半であるが、ロケ地は今度
もまなちゃんのガイドで、瀬戸内海に浮かぶ広島プリンスホテルのマリーナに向かった。
前半と後半はよく似たロケーションでありながら、まったく違う場所であり、広島もなかなかいい
ところじゃないかって、そんな観光気分やらデート気分に浸る暇も無く、気がつけば3時をとっく
に過ぎていたのだった。

さっきまで、黒いレザーのコートでさっそうと歩いていたまなちゃんは、見違えるようなファッシ
ョンに変身し、歩き方までラフで軽やかになっている。
ちょうど一年前の2月20日は京都で振袖での撮影をしたことを思い出しながら、着るものが変わ
るとこうも変わってしまえるものだとオヤジっぽく感心してしまった。

この日は、完全に違う二つのパターンを完璧にこなしてくれたまなちゃんであったが、いいモデル
に出会えたものだと、またいつものように思わせてくれた。

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