『素顔のままで』第18弾


気持ちのいい季節になったものだ。
暑がりで汗っかきの私としては、今が最高の気候であるとも言える。
もちろんまなちゃんも大好きな春になって、最近はガーデニングに凝ってるらしく、キックボード
で近くの園芸店に行っているようで、プランタンや小さな庭で花を育てていると、嬉しそうに見せ
てくれた。

さて、今回は天気予報で土曜日は最高の天気であると知っていたので、前夜雨が降っていても少し
も心配ではなかった。一夜明けて快晴の空を見て、やっぱり晴れちゃうんだよねーって感じだ。

4月1日の土曜日の撮影地については事前に考えていて、三次から中国道を50キロほど東に行っ
た所にある帝釈峡というところに行くことにした。
しかし、今回ほど撮影にてこずったのも初めてであった。
着いてみてその広さに圧倒され、撮影ポイントも絞れず、ガイドブックで見た行きたい場所も何処
にあるのか分からない状態であった。

地元のおじさんハイカーや、観光案内所で聞きながらやっと見つけたが、そこまでかなり歩かなけ
ればならない状況であった。
今考えれば、まなちゃんと楽しくハイキングできて、めちゃ久しぶりに春休みを楽しめた気分で、
クルマでポイントとポイントを走り回るよりも、よっぽど気持ちよかったのである。

実は、そのちょうど一週間前に、私は左足のふくらはぎにかなりひどい肉離れを起こしていたので
ある。その時は誰かに大きな石をぶつけられたと思ったほどの音と衝撃で、思わず何が当たったの
か、周りを探したほどであり、2日ほどまったく左足を使えない状況であった。
しかし、自分の驚異的な回復力を知っている私は、病院にも行かずにテーピングだけで、20kg
のカメラバックを担いで、ハイキングが楽しめるまでに回復しており、可愛いパートナーと共に、
最高のリハビリができたのである。

しかし、渓流の脇の道を歩きながら、となりでいつものようにレフや三脚を持ってくれているまな
ちゃんをどう撮るか、悩みまくっていたのだ。これほど悩んだのは多分初めてであろう。
単なる観光写真にはしたくなかったし、予想に反して新緑とは程遠い景色で、バックの作り方も難
しい状況であった。

また、最終目的であった雄橋も、観光ガイド写真のようには撮りたくなかったのである。
であるから、天然記念物であり、スイスのプレビシュ、北米のロックブリッジと並ぶ貴重な世界三
大天然橋の一つである雄橋の姿を説明するような写真は撮っていないので、ここでちょっと解説で
もしておこうか。

ここは8000万年前まで石灰岩の地であったが、渓水侵食によって地下水が流れる洞窟ができ、
その洞窟も水の流れによって天井部分が浸食して、この辺りに帝釈川が地表に現れることになった
のである。その中で、大きな雄橋はぽっかりと穴を空けた格好で今でも残っており、神の橋と言わ
れるように長さ90m、幅19m、高さ40mの雄大な天然橋なのである。

この帝釈峡は、新緑の時期と秋の紅葉は観光客が溢れるらしいが、それは想像しただけでも、美し
さが目に浮かぶようでもあった。
そして、また新緑とまなちゃんをからめたイメージもふくらんだのである。

翌4月2日の日曜日は、広島市内に出かけることにしたのである。看護学校の短い春休みも残り少
なくなり、今週になるとミス三次としてあちこちに出かけなければならないまなちゃんに少しでも
楽しんでもらいたくて、帝釈峡にも行ったし、市内にも買い物メインで出かけたのである。
特に三次まで私が毎回出かけていくのは、単に『素顔のままで』の回を重ねるためだけではない。

また、日曜は雨が降りそうな曇り空であり、夜まで時間があったので平和記念公園のほんの一角で
1時間ほど撮影したのであるが、別に場所はどこだって構わなかったのである。
今回は、半数のカットをTS−E45mmでの撮影であり、まなちゃんの表情をMFで追いながら
17本撮った。50mmF1.4を押しのけて最近は私の標準レンズになりつつある。
その中から、一枚でも気に入った表情が撮れればイイと今回はいつにも増して思ったのである。
だから、それほど凝った撮影はしていない。何故かそんな気分になったのである。
あえて使ったと言えば、フィルター程度で、今回はCCフィルターで微妙に色を加えているのが、
分かってもらえるであろう。いつも言っているようにレタッチでいじってはいないのだ。

EOS−1Vの撮影レポートを期待されている方も多いであろうが、特にどうって事は無かった。
と言うのが正直なところである。
EOS−3と比べて一番変わったと感じたのが、すべてにおいて静かであることだ。帝釈峡では、
川の流れの音に消されて、フィルムの巻き戻しの音が聞こえないほどであったし、シャッターの音
も、上品である。私としては、EOS−3の大き目の音の方が好きかもしれない。

操作性については、PCでのパーソナルファンクションとの組み合わせが出来ていない状況なので
またにしておこう。

今回はEOS−1Vでの初撮影であったが、撮影中はカメラが変わったことをまったく意識するこ
とが無かった。逆に言えば、ファインダーも体感できるような性能アップがなされていないという
ことだ。確かに逆光でのAFフレームの赤いマークははっきりと見えるようになったし、AFのス
ピードもかなりアップしているが、1N系を所有していて3での撮影になれていれば、新鮮さを感
じることは無いということだ。ただ、素早いことに越したことは無いが、広角レンズの周辺につい
てのAFの精度の悪さは、この1Vでもまったく改善されていないのには失望させられた。
ただ・・・これについてはレンズメーカーの大口径レンズに言えることのようにも感じるのだ。
最近はまったく使うことの無くなったタムロンの28−105mm/F2.8と、今回改めて感じ
た、シグマの28mmF1.8で撮った場合に怪しいのだ。キヤノンのEFレンズでもこの広角域
をカバーするレンズはあるが、このようなことを感じたことはないのである。
これが、今回上がりを見て感じた正直な感想である。
まぁ、撮影中はまなちゃんに集中してしまうのもあるが、なんら迷うことなく使えたのは立派な長
所であるとは思う。ただ、もう少し流石に1Vであると感じたかった。

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