ほんの一瞬のために
茜ちゃんの写真を初めて目にしたのは、3年ほど前になるだろうか。
その時以来気になるモデルとして私の中にインプットされていたわけだが、関西に住む私としては撮影する機会があるなんて思いもしなかったわけで、撮影会などの情報もカメラ雑誌で見ることもなかった。だいたい、関東中心で展開されているモデル撮影会がほとんどであったから、見ても無駄って思っていた。
それに、必然性ゼロの殺風景なスタジオ水着撮影なんかでは撮る気にもならなかったし。
そうこうしている内に、私は個人撮影だけを行なうようになっており、まなちゃんという素晴らしいパートナーにも恵まれた。そして二人だけの撮影の記録がWEB公開分だけでも20回を数えるようになり、私にとってはメインモデルという表現だけでは言い表せない存在となっている。
そんな時に、関西でも撮影会を行なっていると知り、そこに茜ちゃんも出ていたりすることを、去年の暮に知ったのである。それも私の本拠地である神戸に茜ちゃんの方からやってくるなんてことが現実にあるとは・・・最初は目を疑ったほどである。
こんないきさつで、茜ちゃんを神戸で撮るようになって2回目になる。
個人撮影とは違った意味で茜ちゃんに関しては、ずっと撮りたいと思っていたモデルであったことで、撮影会という限られた範囲であっても、自分自身がそんなモデルである茜ちゃんを前にした場合に、どこまで出来るのか試してみたかったのだ。
いや、試すと言う表現よりも、自分がどんな撮影をするのか私自身楽しみであった。
ということで、事前に作戦なんてまったくなく、その時の流れにまかそうと思っていた。
これだけメジャーなモデルである茜ちゃんであるが、私の予想に反して気さくで気取ったところがなく、実にコミュニケーションの取りやすいモデルであった。
撮影会馴れしてしていて、自分も一緒に楽しんじゃおう!ってところだろうが、それは自己中な考えから来ているものではない。2回目となった今回であるがいつのまにか顔だけではなく名前までも覚えてくれているのにはいささか驚かされたが、それは私が特別なわけでもなんでもなく、茜ちゃんにとってはそれが普通なのだ。
そんな茜ちゃんを迎えての撮影であるが、私がするべきことはレンズの前にいてくれる時は少しでも長くファインダーの中で見つめ続けようと思ったのである。
モデルを観察?ちょっと言葉が悪いので、モデルの女の子の仕草や表情を捕まえるのは得意であるが、茜ちゃんが見せてくれる表情やポーズを2回の撮影と、最近よく目にする茜ちゃんファンの人達が作っているサイトの写真を見せてもらって大体掴んだつもりであるが、この茜ちゃん、とても上手くいいタイミングでまんべんなくいいモデルっぷりを見せてくれる。
なかなか、ここまでのモデルにはお目にかからないし、特に常連さんが多い撮影会では、さらに素の部分も半ば混じって、カメラマンを飽きさせない。
その素の部分が立派に被写体している。まぁ、言ってみれば元々のベースがイイということなのだろうが、私が今回狙っていったのは、ファンの人たちと楽しそうに話してる茜ちゃんではなく、力の抜けた柔らかい表情である。個人撮影であれば、流れの中でそういう空気感を作る自信はあるが、撮影会ではそこまでは到底無理である。
そこで私は、常にファインダーで茜ちゃんを追うようにし、そんな私の姿が普通であると茜ちゃんに印象づけようとした。最初は私がレンズを向けているとそれを感じてこちらを見てくれていた。もちろん、そんなときは有り難い!とばかりにシャッターを切ったが、そのうち慣れてきたのだろうか、それほど意識しなくなってきたようである。撮りたければ「茜ちゃんこっち!」って声を掛けていたから、それで充分だ。
こうやっていると、時々周りのシャッター音が止む瞬間があったりするわけだ。そういう時に一瞬表情から力が抜けて眼差しからも柔らかいものを感じるのだが、そういう時に実にいい顔しているのである。そこでシャッター音を鳴り響かせる私であるが、まさにサンキューって感じである。