信頼関係っていつ出来る?
まなちゃんは、私と撮影した『素顔のままで』のWEB公開にあたってすべてを私に任せてくれている。それに関してまったく不思議に思うことがなかったのだが、これって考えてみればすごい事なのかもしれない。
20万ヒットを超えるサイトになって、どこの誰が見ているのか分からない状況でもあり、そんな中で、私がセレクトしてアップしたカットについて、何も言わず認めてくれる。
『素顔のままで』を見る人はまなちゃんの家族であったり、友達もいれば、大阪でモデルをしていたことを知っている人もいる。それに加えてその他大勢の目にさらされるのはまなちゃんであるわけだ。
であるから、私の判断次第でまなちゃんが嫌な思いをすることがあるかもしれない。まぁ、そんな撮影をしていないのは、モデルしてる中で分かってくれていると思うし、アップする前にスキャンした画像は毎日メールで送っている。その数たるや200枚を越えることも多く、その中から私が独断でセレクトしてアップしているのである。
送った画像に関して、まなちゃんは感想を聞かせてくれるが、その時に気に入ったカットはこれとこれって具合に教えてくれる。そうやってまなちゃんのお気に入りのカットを聞くと、当然私の気に入ったカットが含まれている。そしてアップ対象として必ず選ばれることになるのはもちろんのことである。
アップする画像を私に一任してくれることがすごいと言ったが、それは撮影会写真では常識であって、私もいちいち茜ちゃんにアップするカットの確認などは行っていない。
しかし、こんなケースとまなちゃんとの撮影は根本的に違うのである。
撮影会のモデルは、ある意味その撮影会での時間は商品であって、見られて困るようなポーズや表情はしていない。仮に、きわどい角度にカメラマンが行ったとしたら主催者側からクレームがつくだろうし、他のカメラマンも許さないであろう。
しかし、そういうショットだけを狙う心無いカメラマンもいるらしいが、幸い私の知る限り見たことがない。
もし、私の参加する撮影会でそのような行為をしたら、私に見つからないようにすることだな。
そんな撮影会であるから、いくら心を許しているように見えても、あくまでも商品としてのスタンスを崩していないのだから、いささかつまらないのである。
まぁ、この消化不良感もすっきりした食事の味を知ってしまったからではあるが。
話は戻って、まなちゃんとの撮影は、二人でいろいろロケーションを探して回り、まなちゃんも私の向けたレンズの前で商品でいようなどとは思っていない。
そんな無防備なまなちゃんのどんな部分でも撮ろうと思えば撮れる立場であるが、そんな立場に最初から成れたわけではなくて、そんなことをしなかったから今の私たちの関係があるわけだ。
撮影後、スキャンした画像どころかスリーブ丸ごと見せれるような撮影だし「なんでこんなの撮ったの?」なんて言われたことなどもちろん無い。
「なんでこんな表情したのか思い出せないよー」って思うことはあるらしいが。
結局は信頼関係であり、それを築くことを私はなにより大事にしてきた。この信頼関係はイイ格好の見栄えのイイ写真を撮り続ければ得られるものだとも思っちゃいない。だからと言って、どうすりゃイイのかなんて、尚更分かっちゃいないのだ。
イイ人を演じることは、モデルがイイ表情をするために何かをイメージしてそれを演じるのとは違って、撮影終了とともに素に戻ることもできないのだから、私にそんな芸当が出来るわけもなく、逆に素がイイ人だとも到底思えないわけだ。