『素顔のままで』回想録−4


第7弾 1998.12.29 京都北野天満宮、清水寺、大阪南港

これは、『素顔のままで』の中でも他とは少し違っている。それは撮影が本来の目的ではなかったからである。受験勉強に終われて部屋にこもりっきりであったまなちゃんを、息抜きに連れ出しいという私の思いがあり、同時に合格祈願も兼ねている。

そうなると、最初に目指すのは北野天満宮である。年も押し迫ったこの日を選んだのは、初詣の直前であるので、京都も空いているだろうと思ったのである。予想は的中して、ゆっくりと落ち着いて合格祈願ができた。
その後、鴨川に行ったり清水寺辺りを歩いたりであるが、まなちゃんが好きなものを食べたり買ったりしながらであるし、それを最優先したので、撮影はその合間に行っただけである。

まなちゃんも、朝から撮影が目的でないと思って出てきているので、私もその気持ちを大事にしたつもりである。だから、レフなども持たずにぶらぶらしたが、目前に迫った試験の日を思うまなちゃんの緊張感が伝わるような気がしないでもなかった。

その後、大阪に戻り南港で食事となったが、綺麗なイルミネーションがあったので一本だけスローシンクロで1998年最後の撮影を行い、後はまなちゃんの健闘を祈る事となった。

年も明けて1月の半ばから相次いで試験があり、中間報告を聞いていたが、ついに合格の報告を聞き、落ち着かない日を過ごしていた私もホッと胸をなでおろしたものだった。


第8弾 1999.2.20 京都嵯峨野

初めての和服撮影であったが、これについては第2弾のロリロリバージョンの撮影直後に涼しくなったら、ぜひ振袖姿を撮って欲しいと、まなちゃんにリクエストされていたのである。
タイミングを狙っていたのであるが、結局この時期になってしまった。

この日の前日に私にトラブルが発生したのだ。それは、私のクルマの窓ガラスを割りボンネットを開けて、なんとフロントグリルを盗んだヤツがいたのだ。なんとも変わったヤツだが、まぁ珍しい外品だったのでよっぽど欲しかったのだろう。と感心したり怒ったりしている暇もなく、翌日の京都ロケの足がなくなってしまうと困るので、窓にビニールシートを張ったりしたが、これで京都まで行くのは、なんとも心もとないのでクルマ屋の友人にサニーを借りることにしたが、このサニーは京都に向かう名神高速でパンクするというオマケまでついていた。

余談はそれぐらいにして・・・ その日は朝から雪が降るという寒い日で、着付けに行く時までかなりの大雪で、積もりそうな勢いであったが、着付けが終わると同時に晴れ間が射してきたのだった。向かったのは嵐山であるが、初詣の時期も終わっていたので、真っ赤な振袖を着たまなちゃんは嵯峨野でも目立つ存在で、すれ違う人の視線を集めるし「ちょっと見せてねー」っておばさんもやってくる。

そんなまなちゃんであるが、観光写真にならないのが流石である。冷たい北風に凍え、鳥肌状態で鼻の頭を赤くしてても、カメラを向ければしっとりとした表情のまなちゃんがいる。
しかし、帯がキツイので、朝かな何も食べていないまなちゃんの手が冷たくなっていたので、慌ててぜんざいを食べさせたのだが、ちょっと可哀想な気がして、早く帰って振袖を脱いで、お腹一杯ディナーを食べさせてあげたいと思った。

この、振袖撮影をするにあたって私が思っていたことはただひとつ。それは、着物であるらと言ってもそれを見せることを優先した、カタログ撮影のようにだけはしたくないと思ったのだ。しかし、そんな私の思いを知って知らずか、まなちゃんはしっかりいいモデルっぷりを見せてくれた。

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