『素顔のままで』回想録−5


第9弾 1999.3.6 大阪芸大 Part1 Part2

この、大阪芸大はいいロケハンが出来た事がいい撮影に繋がったと思っている。と言うのは、この芸大に通う女の子に事前に校内を隅々まで案内してもらったっていたのである。このさえちゃんは、まなちゃんのファンでもあり、撮影当日にも遊びに来てくれたのだが、改めて感謝したい。

そのロケハンで特に気に入ったのは、乳白色の長い廊下と、直線的な光が差し込むパイプオルガンのあるホールである。
前半は淡いブルーと白のいでたちで清楚なまなちゃん、西日が射して来た後半は革パンで少しワイルドなまなちゃん。
同じ芸大でありながら、光の選び方とそれにあったロケーションを選ぶ事で、この二つのパターンを見事にまなちゃんは演じてくれた。

乳白色の廊下では、タングステンフィルムとシフトレンズを使ってみたりしたが、徐々にまなちゃんとのリズムもよくなり、ノッてきてからは、ストレートに目の前のまなちゃんを撮ることで、その空気を後半に繋げることが出来たのではないかと思っている。

せっかく一日一緒に過ごすのであるから、服やシーンが変わってもそれまでのプロセスって大事にできるものであると感じさせられた、大阪最後の撮影となった芸大であった。
そして、もうひとつ印象的だったのは、さえちゃんと三人で、後半の撮影に入る前に学食で食べたカレーライスが素朴で美味かったことである。


第10弾 1999.4.29 広島県 まなちゃんの部屋 江の川

記念すべき第10弾は、故郷の広島に戻ったまなちゃんの部屋でスタートを切ることになった。広島の看護学校に行く事になっても、『素顔のままで』を続けてたいと言ってくれたまなちゃんであるが、そんなことを言われるまでもなく、当然の流れの第10弾である。

広島県三次市に新しく住まいを移してすぐに、私は広島へ向かってクルマを走らせた。過去に一度だけしか行ったとことのなかった広島であるが、これを機会に数え切れないほど広島に行く事になるのである。

朝日が差し込むまなちゃんの部屋での撮影であるが、ソファーでくつろぐまなちゃんの柔らかな表情が、大阪にいた頃とどこか違った感覚を持って見つめながらシャッターを切った。
その撮影後、まなちゃんは学校へ行ったが、私はそのまま授業が終わる4時まで、ぶらぶらと三次周辺の散策をすることにした。
そして、撮影地の宝庫であることを知り、この春の素晴らしい自然に包まれて心地いい時間を過ごさせてもらった。そのときにロケハンしたのが、三次市の中心から離れたローカル線の無人駅であり、その撮影は今年の春に実現する事となった。

夕方になって撮影した場所は、昼間ロケハンしていた河原であるが、三次は川が多い盆地であり、秋になると三次市は霧につつまれる。この前、そろそろ霧が出だしたとまなちゃんも言っていた。

さて、撮影は故郷の春の日差しを浴びてイキイキとしたまなちゃんが眩しかった記憶が私にはあるが、これからこの広島の地で本当の『素顔のままで』のスタートが切れたように感じた。

<−戻る