撮影会回想録


先日のMoonSideの撮影会だが、最初のダイニングでの撮影で汗をかいていたのは、私とまいちゃんだけであった。私は撮影しだすと汗びっしょりになるのは毎度のことだが、まいちゃんも「暑い・・・」って言いながら頑張ってくれていた。私がクーラーをつけましょうか?って周りに聞くと、ある参加者の人が間髪入れず「いらん」ってことだったので、そのままとなったのだが、私とまいちゃんだけが暑がりだったとは思っていない。まいちゃんは一見楽にモデルをしているようにだが、足の指の先までしっかりと意識が行ってるし、頭の中で全身のバランスを考え、イメージを膨らませながらであったと思うのだ。それに私との気楽なマンツーマンの撮影と違って、かなりの重労働だったに違いない。そう言う私だって、色々と頭の中はフル回転なのである。脳が筋肉で出来ているから汗かくのかな?

まぁ、私のことなんかどうでもいいが、確かにお客様は神様であり、批判するつもりは毛頭ない。しかし、モデルはそれ以上の女神様であると私は思っているのだが・・・
そして、こう言う部分は個人撮影を初めてから考えればいいってものでもないように思うのだ。

そんなことを書いていて、熱く焼けたアスファルトの路面に裸足で立たせ、挙句の果てには、背中が大きく開いた服で寝っころがしているではないか!なんて声が聞こえなくもないが、どんなモデル相手にもそんな要求はしない。
状況に応じては快く受けてくれるモデルと、ヤレヤレ・・・と態度を顕にするモデルがいる。もしそんな空気を感じたら、なだめるか、何事も無かったかのように即座に要求を撤回するか、どちらを選ぶか・・・それも相手によって変わってくるかもしれない。まいちゃんの場合は、私がこの場所を選んだ段階で、自分なりのイメージが出来ていたと思うし、その中で寝っころがることも、違和感無く受け入れられたのだと思っている。

言葉はなくても、「いい写真が撮れそうだと思わない?」「うん、やってみるよ大丈夫!」ってやり取りがあったのだ。この一瞬の直感的な部分は、まなちゃんとの撮影で染み込んだもだろう。そう言えば、まなちゃんは白い服を着てても、錆びの浮いた線路の枕木に寝っころがってくれったけ。
そんなところで、「あーぁあ、熱いのに無茶なこと言われてるなー」なんて野次を飛ばしているカメラマンが優しさを持っているとはこれっぽっちも思わないのである。

そんな女神様であるが、私はお願いしてまで自分の中で浮かんだイメージを要求したり、押し付けたりした記憶もなければ、今後もその考えは変えるつもりはない。
ただ、それは相手が自然に納得できる状況や信頼関係を築くことによって、いい方向に流れて行くもので、無難な安全パイを選び、石橋を叩いて渡るようなことはしてないのである。

今回の撮影会だって、交通量の少ないペンションの前の道路を利用したこのシーンがあるだけで、見るからに撮影会で撮りましたって写真が並ぶのが避けられたと思っている。それは私に限ったことではなく、参加者の人にとっても作品に変化が出せたのではないだろうか。しかし、撮影会であるからサービスのつもりで考えたシチュエーションでも、まいちゃんに頑張ってもらったわけでもない。二人っきりで撮っていても同じこと・・・いや、もっと大胆なことをしていた。

それと、もう一つ気になったことと言えば、二人のモデルを並べたツーショット撮影である。
まったく違う雰囲気の服を着てるのを見ただけでも並べて作品になるはずもなく、どう見ても不自然だし、こんな撮られ方に不慣れなこともあって、普段は仲良しの二人でもハーモニーが出せていたとは言い難かった。私は最初は記念に一枚!のノリかと思っていたのだが、そうでもないようだったので、「さぁ、作品撮りしましょう」って言ってお開きにしてもらった。客様である参加者の要求は絶対的かもしれないが、そんな撮影はRQ撮影会にでも行ってもらえば、いくらでもやらせてもらえるのだ。参加者に媚びることがいい撮影会だ。と言われれば、私はさっさと退散させてもらうつもりだし、そんなのが撮影会の暗黙のルールであるなら、反則負けだってノーコンテストだって構わない。分かってくれる人がいてくれるから私は私流でやっているし、こんな撮影会で何か見つけてもらえると思っている。当たっていると言われる動物占いでは“狼”と出た私なんだから。と言うことで、ここで書いたことは100%私の個人的意見である。


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