運動神経
最近、撮影のリズムが変化しているように感じる。去年ぐらいから撮影後、フィルムの消費が少ないと感じた時期があったが、それはその時のシチュエーションなり、モデルとのリズムがそうさせたのだと思っていたが、それが続いていたりする。
先月、仕事で東京に行った時に、磯村氏がACCESSの臨時撮影会を企画してくれたのだが、その時なんか4本しか撮っていないのである。4時間ほどの撮影時間で参加者も5人であるから、結構シャッターを切れる撮影会であったが、このような結果となった。今回はその時の佐々木芙美ちゃんのダイジェスト版である。
それは、その後のYUKAちゃんとの撮影でも変わらず、シャッターでどんどん引っ張って行くような撮り方は、最近の私から陰をひそめているようだ。
そうなったきっかけが何なのか自分でもわからないのだが、どうも最近の私の撮り方の傾向のようである。
記憶をたどると、茜ちゃんを撮っていた頃はかなりのシャッターを切っていたようであるが、それを最後に減ってきたようだ。
決して“数打ちゃ当たる”的な撮り方をしていたつもりはないが、それで儲けたショットがあったことは認める。また、シャッター音で誘導することもあったし、バシャバシャ切って意外な反応にありついたこともあった。だから、それはそれで否定するつもりも無ければ辞めてしまったのでも無い。
ただ、時期として今は傾向が少し変わってきただけで、“一発必中”的な撮り方を楽しんでいるとも言える。将来的にはその両方を臨機応変に取り混ぜていければと思うのである。
別々に出来るのだから、簡単だと思ってはいけないわけで、その時のリズムってのはそう簡単に滑らかに転調出来るものではない。
途中で撮影パターンの組み立てを変えるのはどうかと思うのだ。例えば投手がピッチングの組み立てを変えて打者を惑わすが、モデルを惑わしてしまったら元も子もないのである。打者がヤマを張るように、モデルだって流れを読んでいるはずなのだから。
ところで、この二通りの撮り方であるが、シャッターの数が多いからって、VTRとは違うのだから、流れを作るシャッターと表情を捕まえるシャッターはちゃんと存在するし、じっくり撮る場合は当然最適なタイミングでシャッターを切っている。
その裏には、モデルとのコミュニケーションがあるのはもちろんだが、その結果いい表情をジャストミートするには“運動神経”と“右脳”のフル稼働が必要であると思っている。
要はドン臭いやつはダメだってことだ。スポーツ写真で言えばトラック競技のように何秒後にどこを通過するか分かりきっているものと違って、ボールの跳ね方が不規則なラグビーのようなものだと思うのだ。ただラグビーも一流選手になると楕円形のボールを思い通りにコントロール出来るらしいが、ここまで持っていきたいと思いつつも、思いがけない瞬間があるからやめられないのである。
今回はACCESS臨時撮影会での佐々木芙美ちゃんだが、とにかく目の印象が強いモデルであった。