犬型と猫型


人につくのが犬型、家につくのが猫型といわれるが、私はまぎれもなく犬型だと思っている。アマチュアカメラマンを例に取れば解りやすい。気に入ったモデルを中心に撮影プランを立てるタイプと、モデルが誰であろうと慣れ親しんだ撮影会に通うタイプ。しかし、前者でもRQの追っかけのようなのは、犬型とはちょっと違ってそのRQのペットなのかもしれない。
私は、犬猫どちらのタイプが良いとか悪いとか区別はしているのではない。もちろん、好きな雰囲気の撮影会にお気に入りのモデルがレギュラーで出演しているに越した事はないわけだ。

飲みに行かない私には経験がないが、はまっているホステスが他の店に移れば、追いかけて行くこともあるだろう。しかし猫型は一度や二度はそんなことをしたとしても、結局は元の馴染みの店に落ち着くのかもしれない。でも、それが大人の健全な遊びだとも思う。
撮影会や写真サークルだって同じで、このようなカメラマンを数多く見てきた。クラブのママや撮影会主催者としては、計算できる実に良いお客さんであるわけだが、居心地がイイ場所ってのは確かにあるようだ。撮影もせずにお喋りだけを楽しみにやってくる人も多いが、それもよしとしよう。
私も一時、あるところを応援していた時期があったが、常に単なる『仲良し倶楽部』じゃいけないのでは・・・と言っていた。その辺での食い違いから徐々に疎遠となってしまった苦い経験もあるが、その反面、友人の画伯こと磯村氏はACCESSの貴重な参加者に対しても、言うべき事は心を鬼にして言っていて、もちろん私にだって遠慮なくそうしてくれるので私としては得難い存在なのである。

(居心地が良い)=(仲良し倶楽部)という公式でしか考えられない相手に対して、単に敷居を低くすれば人が集まり定着するわけではないと私は何度も言っていたが、それを受け入れてくれてたなら、私としても多少自分のポリシーを曲げてでも協力を惜しまなかったはずである。まぁ、そんなことをいまさら思い返してみても、そこはもう消えてなくなってしまった。
もちろん、仲良くすることが一番大事なことだと分かっている。しかし、向上心のない者たちの言動に目をつぶってしまうことで、本来残って欲しい人を失うことがなかったわけではない。ただ、この向上心と言うのもそれぞれの価値観があるから、それを持ってる持ってないの判断も規準があるわけじゃないが、明らかにヘンなのが多いことは確かである。

クリスマスだからってサンタの衣装をモデルに着せたりなんてことは、私には受け入れがたいことで、そんなリクエストにホイホイ応じてしまう撮影会もあまり賛成していない。それは磯村氏とも意見が一致する部分だが、猫型カメラマンに対して媚を売ることが居心地の良さを提供しているとは思わない。
コスプレは嫌いだが、撮影会の合間や終わった後のモデルを交えてのお食事会などはいいと思うのである。(仲良くなれること)=(いい撮影)は間違いなく正解である。
コスプレと言えば、過去にその世界では有名らしいコスプレイヤーから撮影依頼が来たことがあったが、私は撮影の条件として、コスプレ禁止を言い渡した事があった。

話を戻して、仲良くなるといっても「親しき中にも礼儀あり」これだけは、忘れてはならない最低条件であり、私とまなちゃんとの間にだってそれは確実に存在するのである。
カメラマンとモデルの間では、そこのボーダーラインをどこに見つけ定めるかが、重要になると思うのである。
特に、個人撮影を続けていくには絶対に忘れてはならない肝心な部分であり、これがいつの間にかあやふやになってしまう危険性がある。

個人撮影となれば、撮影以外で過ごす時間も多くなるし、付き合いが永くなればなるほど、その機会も自然に増えてくる。だから、カメラマンとモデルとしてだけの相性が良いだけでは、個人撮影ならではの空気感が見えてこないのだ。仮面夫婦的なパートナーシップじゃいけないってことである。


<−戻る