ずっと好きでいたいこと


趣味が高じて・・・なんてのは結構よくある話で、私もそのクチだが、写真の世界を例にするなら、プロより上手いアマはごまんといることだろう。実際に、私も写真を始めたので見て欲しいと、ある女の子にサービス判の写真を見せられたことがあり、この子は天才ではなかろうか?と感じた経験がある。同じ意味合いでも、アマチュアよりヘタなプロが多いと表現すると、かなり印象が変るものである。だが、実際にそうなのだから仕方が無いし、それでいい世界でもある。

野球やサッカーなどは人並みはずれて上手ければ、プロの世界が放っておかないが、写真は上手い人はたくさんいるけど、それだけで成功するような世界ではない。
それを皆が知っているから、趣味として愉しんでいる人が大多数なのだろう。また、本当に好きで愉しみたいのであれば趣味の域を出ない方がどれだけそれを満喫できることか。

クルマの世界だって同じで、ディーラーのメカニックよりよっぽど詳しくて器用な人は多い。逆にサラリーマン整備士には、自社ブランドの車種でさらに整備マニュアルだけが頼りで、応用が利かないようなのを何人か知っている。
向こうからやってきた仕事を淡々とこなし、且つ絶対に失敗ができない業種であることには変わりないのだが、これが楽しめない要素の第一である。このような切り口にしてみれば、ちょっと好き程度でやってられない世界である。
写真は、同じ時間には絶対に戻れないのだから、失敗は致命的となる。まだポートレートなんかは頭を下げれば、何とかなっても次は期待できない。記録写真的なものや、ブライダル関係など取り返しがつかない分野が多い。
クルマの整備とかは、直接事故にに繋がる部位も多く気が抜けない。しかし、私なんかは車検から返ってきた私のベンツに不慣れな家族が最初に運転していて、後輪が突然外れ、そのタイヤにリアフェンダーが乗り上げる状態となって、あわや大惨事になりかけたことがある。たぶんホイールボルトから異音がしていたと思うが、普段から乗りなれていないのだから、気付かなくて当然である。もちろん車検代と修理代はタダである。整備工場の下っ端がホイルボルトを締め忘れたのが原因であるが、親しい整備工場でなければ逆にペナルティーを課していたと思う。
私も、他人のクルマに手を入れる時は、しっかりとトルクレンチを使い念を入れるようにしている。

とにかく、プロで生き抜くには何よりも安定感を求められるのであって、奇抜なヒラメキなどいらない。突飛な冒険はリスクが高すぎて、その度胸がなかなか出ない。それには、写真であれば自分の作品撮りで経験を積むことになるだろうし、メカニックなら自分のクルマに手を入れるか、公道ではなくサーッキトで試してノウハウを見に付けるしかない。まぁ、ディーラー系やノーマルなカー用品店で働くなら、つまらない仕事の繰り返しをコツコツやっていればいいが。
自分の作品撮りと簡単に言ってしまったが、風景写真なら好きにやればいいが、ポートレートとなるとモデルが必ず存在するわけで、そのモデルになってくれる相手が「失敗してもどうなっても私は気きにしないわ」なんて言ってくれたとしても、そんなわけには行かないのである。

作品撮りとしては、まなちゃんとの撮影は彼女なりにスケジュールのやりくりをしてくれて、服やヘアメイクを考えてくれているし、出来上がりを楽しみにしているのだから、私としては仕事以上にいい写真を撮ってあげたいと思うのである。だから、90%は歩留まりの高い撮影をし、残りの10%で新しいことにチャレンジさせてもらうようにしている。本来はギャラを払ってモデルを雇うか、撮影会に出向いて撮影する時に、思いっきり冒険をすればいいのである。失敗したって誰にも迷惑はかからないのだから。
クルマいじりだって、他人から頼まれたものについては極めて慎重に作業を行い、自分のクルマをさわる時は、かなり強引なことを平気でやっていて、それがベンツであろうと同じである。ただ、事故につながるようなパーツについては、自己責任だけではすまないので慎重に行っている。とは言って飛行機と違ってクルマはエンジンが止まっても、動かなくなるだけなので少々のことは、エイヤッでやってしまうことが多い。

結局は、好きなら趣味の範囲でやるのが望ましいのであり、実際にその時に力がつくものである。
釣りなんかまさにそれで、私はルアーフィッシングが好きであるが、釣果のみを考えて釣りをしてても面白くないわけで、悩んだ末に購入した新しいルアーの使いどころを考えて、イメージ通りに食いつかせた時の快感はたまらない。その時にひとつ自分だけのデータが残り、後々のための引き出しとなるのである。
しかし、この快感が忘れられなくなると、みるみるうちにロッドやリール、そしてルアーの数が膨れ上がるのだ。その中からチョイスして釣行するのがいいのだろうが、いつ何時どんなシチュエーションと遭遇するか分からないので、しこたま荷物が増えてしまうのである。しかし、コイツを持ってきていてヨカッタと思ったことが何度もあったのだから、この習慣はやめられそうもない。
そういえば、これは撮影でも同じで、たくさんレンズを持って行ってしまい、バッグが肩に食い込んでしまうのである。そんな時、まなちゃんは何気にレフを持ってくれたりする。
また、私のクルマには、これまた多くの工具が積み込まれているのだが、暇があればツール店に行って何か買い込んでしまうのである。
私は心配性なのだろうか?いや、後悔せずに愉しみを漏らさず満喫したいだけなのだ。


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