Fマウント初参戦
ついに、ニコンユーザーの仲間入りをしてしまった。これまでニコン製品とは馴染みが薄かったような、そうでなかったような。まずはフィルムスキャナーはお義理でキヤノン製を買ったものの、色がヘンだったので即、見切りをつけ、ニコンのLS−2000に替えたが、カメラは過去にニコノスを使ったことがあっただけである。これまで大量の一眼ボディーを使ってきたのに、一度もニコンのシャッターを切ったことさえなかったのは、自分でも不思議である。
小学生の頃は親父のペンタックスで一眼デビューを果たし、その後、自分の専用として中学生の頃にミノルタを、その後、キヤノンのA−1から、途中ペンタックスの時代が少しあったものの、ずっとキヤノンであり、EOSとなってからは、フラッグシップを使い続けて来た。
銀塩時代に歴代EOSを使い続けていたが、EOSのみが我が写真の全てだと思っていたわけではない。のっぺりとしたなで肩のEOS−1系のデザインを、最初はなぜだかアメリカ軍のステルス戦闘機のようだと感じて、高性能をベールで包んだ感じが好きであった。しかし、ライバルのニコンF4の戦艦大和のような偉そうなデザインも気になっていたわけだ。そしてキープコンセプトを守るEOS−1系を尻目にF−5が出て、古いマウントのハンデをものともしない高性能や、キヤノンとは違ったアプローチでの進化も気にしつつ、自分の機材での最高のパフォーマンスを求めることを優先して、見て見ぬふりをしていたわけだ。
この、見て見ぬふりってやつは無関心とは違って、そのまったく逆であり、気になる存在であったということだ。
いつかは、古いマウントを守り続けることを諦める時が来るのではないかと思っていたが、結局はデジタル時代に突入してしまった。
前置きはそれぐらいにして、何を買ったんだって? それはD300である、当然ながらレンズは一本も持っていないのだから、買わねばならない。近々に結婚式の二次会の写真を撮ることになっていたので、ズームが必要だろうとなったし、そう何本もレンズを買うほど裕福でもない。迷ったが、結局は"AF-S DX VR18-200G"にした。本心は明るい単レンズをずらっと揃えたいところだが、あっても邪魔にはならんだろうってことで、ニコン初レンズは普及版の高倍率ズームとなった。普及版といえども、定価が11万もするVRUレンズであるから、なかなか使いやすいが、いかんせんファインダーが暗くて気分が盛り上がらない。
それで、さっそく50mmの単レンズを追加する予定にしているが、DXフォーマットだと75mmの大口径となるから、この2本で恥ずかしくないポートレートを撮ってやろうじゃないの。と、言いながら85mmF1.4のいい出物がないか探してしまう私である。
しかし、まったくの初心者のように、レンズの脱着時の回転でまだ戸惑ってしまうのだから、完全にEOSな人となり、身体に染み付いたキヤノン標準との切替えにもたつく始末であるが、一番に露出インジケーター表示の左右を逆にしたのは言うまでもない。あと、残念だったのが、フィルターサイズがキヤノンとニコンのレンズでは微妙に異なっていることが多く、高価なPLフィルターなどの使い回しが出来ないことである。
まぁ、銀塩時代のように頻繁にCCフィルターを付けることも無いので、たいした問題ではないが、未だに色温度がデジタル的に変更できることに、便利なようで味気なさを感じてしまう私である。
それにしても、最新のデジタルの写りはたいしたものである。せっせとフィルムスキャナーで画像データを起こしていた私だが、どう頑張ってもここまで仕上げられなかったし、プリンターの性能アップも相まって、この流れに逆らう意味が無くなってきたようだ。2000年代の当初は、まだまだリバーサルの優位性を信じていた私なのだが。
EOS−5でEOSと出会い、未完成なおもちゃっぽさに嫌気がさして、すぐにEOS−1を買ってしまった私であるが、今回はD3を諦めてD300にしたのではなく、D300が気に入っての行動である。まだまだ、D3はとりあえずニコンだってFXフォーマットも作れますよって感じで、これからのモデルに期待であろう。大きいことはイイことだ!ではあるが、DXってのも面白いではないか。安上がりなDXのメリットを最大限に活かしてくれた、D300はこのフォーマットさえ気にしなければ、D3より活躍の場が多いのは容易にイメージできる。
もちろん、ポートレートを撮る時用に、縦位置グリップは用意する予定である。
DXフォーマットは、レンズの焦点距離が1.5倍になるということは、常識的となっているが、それを便利と感じる人と、困った問題だと考える人とあるはずだ。メインとなる被写体が違うのだから当然のことだ。しかし、誰もが大歓迎する特典がある。それはAFポイントの存在する範囲が広く取れてしまうのである。逆にFXフォーマットのD3になると、D300と同じ51点の守備範囲がかなり中央寄りになってしまうのである。単純に物理的なことだが、フォーマットサイズが小さいことの恩恵だ。
D300での初撮りの被写体は、常に私の傍らでゴロゴロしているMダックスのジュンである。先日、ジュンを連れて近くの広い公園に散歩に出かけたのだが、その時に3DトラッキングAFを試してみた。確かに動き回るジュンを51点のAFポイントをフル回転させて追従してくれていた。1005分割のセンサーが色を記憶する仕組みだから、全身が茶色いのであちこちにフォーカスポイントが移動したが、それは想定内である。フルヌードで動き回るような状況以外であれば、動きのあるポートレートの歩留まりが格段にアップしてくれそうだ。
機械に頼っているようだが、結果が残らなければ意味が無いので、D300を欲しいと思った大きな要因となった。3Dトラッキング第一号機でこれだけ使えるのだから、今後どんどんCPUも早くなるだろうし、他のメーカーも黙っていないはずで、将来どれだけすごいものが出てくるのやら。