D300お散歩スタイル
デジタルになって、銀塩と撮影上で変化したところはいくつかある。フィルムが無くなったことと、スペックによってレンズの焦点距離が変化すること。大きく分ければこの2つだろうが、後者はフィルムが無くなったことが起因するわけだから、結局はひとつにまとめられるわけだ。
私はいまだにその日撮り始めて36回シャッターを切った辺りで、何かやり忘れたような感覚が抜け切らない。以前はフィルムチェンジのタイミングだったわけだ。
1本使い切ったら、キュイーンと巻き戻しが始まって、裏ブタを開けてフィルムをセットし直す儀式は嫌いじゃなかった。今となれば、不経済だし邪魔臭いことだが、小学生の頃からそれが写真というものだったし、手巻きじゃなくなって、装てんが確実で楽になったと感じていた。
デジタルになってからというもの、機材が少なくてすむというのがある。もちろんフィルムを持っていかなくていいのはあるが、フィルム時代は、カラーネガ、モノクロ、リバーサルと持って行ったものだ。その3種類だけじゃなく、ISO感度、発色の傾向などで、どんどん本数が増えていたのだ。
ところが、デジタルだと全てが液晶パネルから好きなタイミングで変更出来るのである。
だから、フィルムだけではなくフィルターだってかなりの枚数を持ち歩いていたのが、それも必要なくなるわけである。ファインダー越しにフィルター効果を確認しながらの撮影が懐かしい。特にCCフィルターはかなり使い込んでいた私だが、今はPLフィルターだけをバッグに入れている。
また、ISO感度については、ポジでISO400を使うことはかなり抵抗があった銀塩だったが、デジではそんなのまったく問題にならないぐらいに、高感度撮影が可能になった。その結果、シャッター速度がかなり稼げるので、三脚も置いて出ることがある。
速いシャッター速度が使えるというのは、銀塩では撮れなかった写真が撮れてしまうということになるのだ。ポートレートではそれほど感じなかったが、最近便利だと感じたのはちいさな花を撮っていた時である。それは、風のある日で、マクロレンズでピントを合わせてシャッターを切ろうと思っても、風にあおられた花が被写体ブレを起こしてしまうのだ。もちろんピントも甘くなってしまうので、絞り込んで深度を確保したものの、そうすることでさらにシャッタースピードが食われてしまう。以前なら半ば諦めていたが、その場でISO感度が上げられるのだから、ISO800にしてみると、かなり写し止めることが出来た。
こんな、感じでどんどんデジタルな撮影になっているが、銀塩時代に色々と試行錯誤してきたことは、それはそれで貴重な経験を積んだと思える。そういうバックボーンがあってこそ、デジタルのホワイトバランスなどを使い分けられるのだから。
ただ、銀塩時代に現像したてのポジをライトボックスで見て、快心の仕上がりの美しさは、いまだにデジタルでは経験していない。あのルーペの中の万華鏡のような世界は忘れることは出来ないだろう。
機材が少なくなったと先ほど書いたが、まだニコンマウントのレンズの手持ちが少ないこともあるが、お手軽にD300を持って出たい時の小型のカメラバッグとして、今回ドンケを注文した。F−3Xというモデルで、見た目も明らかにカメラバッグという感じではないのを選んだ結果である。
レンズが10本ぐらい収納可能なバッグをよっこらしょっと担いでポートレートは撮っているが、必要なレンズをチョイスして出かける時用のが欲しくなったのである。それぐらいのサイズであれば、キヤノンの支給品がいくつかあるが、使う気にならない。10年ほど前にカメラバッグを買う時に、一度ドンケを見たことがあるが、結局Loweproのを買った記憶がある。長年写真をやっていれば、DOMKEのロゴは知らないはずもないが、値段の割りにチープなバッグという印象であった。その後、ずっと大型でしっかりと保護材が入ったものを何の疑問もなく使ってきたわけだ。確かに多少の雨も気にならないし、岩場や水際にも平気で置いて撮ってきた。
しかし、最近になって犬の散歩を兼ねたスナップ撮影がお気に入りなので、見た目が「一眼レフ入門機と一緒に買いました」みたいなのではない、軽くて機能的なのが欲しくなったのである。必要最低限の機材保護装備だが、私はカメラやレンズのキズを気にしたり、下取り価格が下がるからとか言って、神経をすり減らすタイプではまったくないので、シンプルなドンケでいいのである。
届いたばかりの、DOMKE F−3Xであるが、定価で25,000円もするバッグだとは誰も思わないであろうほど、安っぽいというのが偽らざる感想である。
それと新品なので、ゴワゴワしていることもあり、まだ使い易いとは言えないが、大柄なAF-S DX VR18-200GをつけたままのD300とレンズ2本が楽に収納可能である。このレンズを付けっぱなしというのが、重要なのである。
さらに両サイドのポケットが空いているので、SP AF90mm F/2.8 Di MACRO程度のレンズなら余裕で入るから、レンズ5本はいけそうだ。それに、ストロボぐらいならまだ入る余裕があって、小さい割りにかなりの収容力ということになる。また、結構高さがあり、大口径の望遠ズームも入ってしまうので、これから出番が増えそうな感じである。そうなると自然にジーンズのように馴染んでくるだろうから、それを楽しみにすることにしよう。
気になったのは、ふたの留め金が金属の金具で使い辛いのに引きかえ、全重量がかかるショルダーストラップの留め具がプラスティックであること。これって逆だろう?って思うわけだ。私が使ってきたのは、ショルダーストラップは、クルマのシートベルトと同じ素材で、留め具はもちろん頑丈な金属であり、不安を感じたことはなかった。しかし、このドンケは緩衝材が殆ど省略されているだけに、ベルトが外れて落下したらヤバイ。しかし、長年ジャーナリストに愛用されてきて実績のあるドンケだから、そんな私らしくもない心配は無用なのだろう。