時代は変わる


D300では、基本的にマルチパターン測光を使って行こうと決めていたが、スポット測光を銀塩ではメインで使っていることもあって、スポット測光プラス露出補正であれば、ほぼ間違いなく露出を決めれる自信はあるのだ。
それでも、あえてマルチパターンの癖をつかみ、それに露出補正を加えていこうと思っていたが、時にはこれはスポット測光で行ってみるかって時がある。EOS−1系のボディでは、一番キレのいい中央のスポット測光サークルでスポット測光して、AEロックで撮っており、測距点連動のスポット測光は使っていない私である。この動作を身体が覚えているので、D300ではどうもしっくりこないのだ。51点もある測距点でAFと同時にスポット測光が出来るのは便利なようだが、測光のキレがイマイチだと感じることが多いのである。私が調べた中ではどうもD300は中央のリアルスポット測光は出来ないようである。ニコンどころか本格的なデジタルはD300が初めてであるので、EOS−1Vと同じであるはずが無いのかもしれないが、これも慣れるしかないだろう。

しかし、銀塩に比べて撮影中に違和感を覚えてしまうのは、シャッターを切った直後にモニターで結果が確認できるからであることは薄々感じていることであり、銀塩時代では撮った時の感覚が薄れてしまってから結果を見るのだから、自分のイメージとのズレが出た場合もその差が多少曖昧になってしまうのは仕方がない。しかし、リバーサルの方がイメージ以上の出来だった時の感動は遥かに大きかった気がする。はっきり言って、いまだにD300で驚きの写真はまだ撮れていない。

最近は、どこかに出かけるときは必ずD300を携えているが、用途に応じてレンズを選択することになる。使うバッグはCreedのレザーバッグであり、100%撮影目的でD300を持ち出す時以外はこのスタイルを取っている私なのである。最近一番多いのは、24-70mm F2.8G をつけたままのD300を放り込んでいるが、それに AF-S DX VR18-200G を加えることも多い。もちろん単レンズも持って行きたいが、何のために高い標準ズームを買ったのかを考えるとこの2本になるし、屋外であればそれで問題が起きることも無い。

三脚と一脚は常にクルマに積んであるので、必要とあれば持ち出せる。ただ、この猛暑の中で使わないカメラやレンズを車内に置きっぱなしは酷なことだし、最近は車内に高価な物を置いたままクルマを離れることは出来ない時代となったので、必要なレンズ以外は自宅に置いて出ることがほとんどとなった。以前は機材一式を前日に積み込んで準備していたこともあったが、災難に遭っても自分が悪いと思わなければならないだろう。

そういえば、まなちゃんと京都の嵐山に行く前夜に準備をしようとしたら、運転席の窓を割られていることに気付いたことがあった。ボンネットが浮いていたので、大型のタービンなどエンジンをやられたと思ったら、なんとフロントグリルを盗られただけであった。確かにFRPの外品製であったが、そこまでして欲しいのか?って思ったものだ。それ以外にはまったく手をつけていないのだから不幸中の幸いでもあるが、世の中頭のおかしなヤツが多いものである。翌日の撮影では京都で長時間駐車しておかなければならないこともあり、窓にビニールを貼って行くわけにもいかず、夜中に友人の整備工場で代車のサニーを借りたのだった。

近畿圏での撮影ポイントで車上荒らしが多いのは、伊丹空港の滑走路脇の路地である。そこは、着陸体勢にはいった飛行機が超低空で真上を飛んでくる有名なポイントであり、夜になるとカップルでも賑わう場所である。その近くの道路脇にクルマを停める人が多いのだが、毎週のように被害者が出ているらしい。だいたい飛行機を見に行くと30分は戻って来ないし、大きな747なんかが着陸する瞬間は絶対と言っていいほど、戻って来ることは無いのだ。それに、爆音が轟くのでハンマーで窓を割る音もかき消されるのだから、犯人にとっては好条件が揃いすぎているのである。もちろん、騒音問題で近くに民家が少ないのも狙いやすいわけである。
何故、私がそんなに詳しいかと言えば、5年前に私自身が被害者になっているからである。伊丹育ちの私はまったく警戒することをしなかったが、警官と話してから考えると、これほど危ない場所はないと納得したわけだ。

デジタル時代になってから、機材の値段も上昇しレンズを揃えだすとクルマ一台が買えそうな金額になってしまう。それに対して、人の物を盗むことへの罪の意識が薄い連中が増えているのだから、自己防衛しか手はない。また、撮影中はファインダーの中に集中し過ぎて、足元のカメラバッグへの注意がおろそかになる。それを狙って撮影会に参加するヤツもいるらしいから困ったものである。
いつまでも平和で安全だと思っていてはいけない国になってしまったものである。大阪に住んでいた頃は、自宅マンションの前で引ったくりに遭った女子大生が泣きながら歩いているのに出くわして、携帯もバッグも盗まれて助けを求められたことがあった。私のような大男に比べて女性は何倍も危険度が高いのに、痛い目に遭うまでそれに気付かない女の子が多いのも事実。私はレイプされた女の子を二人知っているが、トラウマはそう簡単に消えないようである。親しくなった女性はモデルたちも含めて、気をつけるようにいつも言っている私なのである。


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