これからどうなる?
D300を買ってから、早や一年半となるが、新しいもの好きなら次のボディ候補がとっくに挙がっていることだろう。しかし、私はそんな馬鹿じゃないから、D300で充分と考えている。ニコンに慣れるためにも、ボディを替えることはしたくないと言うのもある。
銀塩時代の最高機種であったEOS−1Vに比べても劣るどころか、D300の方がいい撮影が出来る機械であると思っている。確かにAPS−Cフォーマットであるから、レンズの使い勝手が異なるが、慣れてしまえば大した影響はない。
ただし、あの頃のような写真を撮っている実感に浸れない部分で、銀塩とデジタルの差は大きく、それは未だに埋まらない部分である。しかし、そんな時代になったと言うことだろう。
ワクワクする楽しみは薄れたものの、イメージ通りの写真を撮る機械としては確実に上である。
クルマの世界も、ハイブリッドが大流行であり、ハイオクガソリンをがぶ飲みにするハイパワーのターボ車を好む私と世間の差が出てきたと今年になって実感している。特に私の周りに誰一人としてハイブリッド車に乗っている人がいないどころか、ガソリンを目一杯燃やすタイプばかりなので、エコカーブームに対してまったく実感がない。
近い将来、主力として電気自動車が各社から発表されることが分かっているが、私はそれに馴染めるのだろうか。
リバーサル・フィルムの発色の良さに一喜一憂していた頃が忘れられないのと同じように、初めて加速Gで後頭部がシートに叩きつけられた瞬間が今でも身体が覚えていて、それから抜け出せないでいるのである。
あれは、スカイラインのRS−TURBOの加給圧を上げた時だから、20年以上前のことになるが、あの快感は麻薬のようなもので、いくらガソリンを食おうとも止められないのである。
これから主役になるだろうエコカーは、財布と地球にやさしいのは間違いないが、私は満足できるだろうか。
電気モーターのように、メリハリが無く回るだけのロータリーエンジンは、結局クルマ好きにはあまり支持されず、今ではノンターボのRX−8だけが細々と生き残っているだけだ。電気自動車も近い将来は、これぐらいのパワーは出るのかもしれないが、ローターリー以上につまらない回り方をするような気がする。私が最初に自分のクルマとして買ったのが、そのロータリーのRX−7だったのだ。
デジタルカメラだって、銀塩のレベルには程遠いと言われた時期は一瞬で、一気に銀塩を追い越して行ったが同じようなことがクルマの世界にも起こるのかもしれない。
EOS−1Vを買った頃は、まだまだデジタルなんて・・・って思ったものであるが、もう、あの頃にデジタルは余裕で射程距離にいたのであろう。
今後、とんでもなく高性能なバッテリーが開発され、アクセルにリニアに反応する気持ちのいいエコカーが出来るのだろうが、クルマが電気製品化してしまうのだけは勘弁願いたい。
残念ながらそうなってしまったのがカメラであり、数年前の最高機種が今では普及期に数字上のスペックでは追い越されてしまう現状があり、そんなことがあってはたまったものじゃない。
それを喜ぶ新しいジャンルの写真愛好家が増えていることも事実だし、私自身決して高くないD300で大満足しているのだから、その恩恵をたっぷり授かっているのだが、私のいいたいのはそういう部分ではないのを分かって欲しい。
ガソリンエンジンのクルマなら、10年前の高性能車が今の大衆車に負けることはないし、チューニングすれば、今の高性能車と張り合えるクルマに仕上げられる。
その部分でカーライフを楽しんでいる私としては、クルマが電気製品化されてしまうことだけは許されないのである。
今のエンジンと同等の出力が、安い電気代で実現できるモーターが開発されるのも時間の問題だろう。そして、それを積んだクルマは快適であろうことは、容易に想像ができる。
振動も騒音も別世界であろうが、内燃機関であるガソリンエンジンの魅力はそう簡単に忘れ去られ、消滅するものだろうか。
コダックのリバーサルフィルムの販売が終了するとかのニュースが流れていたが、幕切れはあっけないものである。