好きなものからはじめよう
そろそろ、カメラの出番が増える季節になってきた。すでに梅は終盤となり、もうすぐ桜の時期である。
桜より紅葉の方が情緒があって好きなのであるが、少なくともマクロの世界は楽しい季節だ。
ポートレートを撮ることに関しては、季節的に秋と並んでモデルに優しい季節である。ジャケットを羽織ってもよし、日が昇れば半袖もありだ。
しかし、秋に比べると気温が近くても太陽の角度はかなり夏に近い状態になるので、光的には秋に軍配があがるかもしれない。その分、撮影時間帯を後ろにずらすのもひとつの手ではあるが、何より気持ちのいい季節であることが、表情や仕草で表現できれば年間を通して一番のポートレート・シーズンだろう。
撮影会でもいいからポートレートを撮りたい季節であるが、撮影会の参加費がもったいないとか、タダで撮れるモデルがいないとかで、ポートレートを撮れない可哀想なカメラマンは、ポートレートに興味があって一眼レフを持っている人の過半数を占めているのではないかと思っているが、どうだろう。
まず、タダで撮れると言っても、それはギャラが発生しないだけであって、経費は撮影会以上にかかるので、そこは誤解して欲しくない。いや、モデルと駅で待ち合わせして、撮影だけしてさようならってケースもあるかもしれないが、私はそんなことはしたことが無い。
確かに、撮影会の参加費は高いところが多い。ただ、自分でモデルを探せない人にとって、それが高いとも思えないが。
しかし、雑誌の後ろの方に広告を出しているヌード撮影がメインの撮影会などではなく、決して高くなくて少人数でしっかりポートレートが撮れる撮影会はその気になれば探せるはずである。
個人撮影のモデルがいないのなら、そんなところで撮るしかないだろう。イベントでキャンギャルを撮っていても仕方がない。
でも、サークル的な撮影会は常連がいるのが普通で、そこに出かけていくのが億劫であるなら、個人撮影なども出来るはずが無く、他のものを撮るしかない。
確かに、常連が我が物顔で仕切っていると、うっとおしいかもしれないが、徐々に馴染んでいけばいい。
ポートレートを撮りたければ、実際に初対面の人と話が普通にできるレベルの社交性は必要である。ネット上の掲示板では元気だが、実際は単なるデジタル・オタクだってことが多いが、まずそんな病んでる人はそこからどうにかしなければならない。
キャンギャルを必死で追いかけているオタクをイベントなんかで見てしまうと、撮影会に行ってもあんな連中ばかりではないかと思っても仕方がない。
確かに、ヌード撮影会やキャンギャルたちを集めての撮影会には、その類の人種が多いが、しっかりと作品撮りの向上心を持っていて、普通に接することが出来る人も絶対いる。
要は、自分がどういう意思を持って参加するかにかかっているのである。
風景なら内気な性格でも大丈夫だが、それもあまり気が進まず、いいカメラを買ったものの、撮りたいものが思い浮かばないなんて悩みを持った人がけっこういるらしい。
これが一番厄介な状況だが、他の趣味はないのだろうか? 撮影機材のコレクションが趣味なんて言わないでくれよ。
オタクならオタクらしく、何か熱中しているものを撮ればいいではないか。
熱帯魚や昆虫が好きなら、最高の被写体が目の前にあるんだし、誰より生態に詳しいのだから、これ以上の強みは無い。
釣りが好きなら、ブラピの映画でリバー・ランズ・スルー・イットってのがあるから、一度観て欲しい。釣りの風景描写がすばらしいから。
部屋に閉じこもって、インターネットやゲームとか漫画が趣味って言われたら救いようがないが、私がクルマを撮っているように好きなものを撮ればいいのである。
その典型が鉄道や飛行機の写真を撮っている人たちだろう。いい撮影ポントを知っているし、熱意もすごいので、写真撮影の技術がいくらあっても、彼らにはかなわないことがある。大昔のことだが、伊丹空港に行ったときに、イヤホンで何か無線を聞きながら回りに情報を流している人を何人か見かけた。次にどんな飛行機が離着陸するかを知っているのである。管制塔の無線でも聞いていたのだろうか?
最近は、野山に行くとデジタル一眼を持った年配の人をよく見かける。とても微笑ましく思ってながめているが、素敵な余生を送ってもらいたいものである。
時にはとんでもない望遠レンズで野鳥を狙っているお爺さんもいて、圧倒させられる。
これからの季節、カメラを持っているだけで、ちょっとした散歩も気がつけばいっぱい歩いてしまっていて、健康にも右脳のトレーニングにもなる。デジカメの設定も複雑なので、左脳もフル回転なはずで、ボケ防止には最高ではないだろうか。