私なりのポートレート

 ポートレート、いわゆる肖像写真である。しかし私はその意味を深く考えたことはない。
肖像写真といえば男女の区別なく当てはまる訳だが、私だけではなく世間一般に、女性が
モデルと相場が決まっているのである。

 カメラさえ持っていれば、可愛い女の子と会話が出来、見つめてもらえる!最高ではな
いですか。当然いい写真を撮ってあげないとダメだけど・・・

 更に私の撮影のベースとなる考え方は、「モデルに仕事をさせない」である。
というのは、簡単に言えばモデルに撮らされないで、ファインダーでモデルの動きを追い
つづけ、ここぞという瞬間を切り取りたいと思っている。もちろんモデルさんは自分を一
番奇麗に見せるポイントをちゃんと心得ているケースが多いので、それを無視するわけに
もいかない。
ナットク!参った!って表情でレンズを見つめられたら、思わずシャッターを切ってしま
うのは仕方のないことであるが、その後すぐにファインダーから目を離してしまったら、
実にもったいないことである。
 私は、何カットかモデルの「営業顔」を撮ったあと、OK!サインを左手で出して、一
応の終了の合図を出すが、その時もファインダーから目を離さない様にしている。
その後に一瞬、実に素晴らしい「一人の女性」が見える時が多いのである。

 おかげで、撮影後は左の眉(私の利き目は左目である)辺りがヒリヒリして、翌日には
皮がポロポロむけることがある。それほどファインダーから目を離さないってことである。

 それから、私はあまりロケーションを変えることはしないのである。Galleryの
写真を見てもらえれば分かると思うが、わりと一個所で撮っていることが多いのに気づか
れると思う。それはバックを一旦決めてしまうと、そこでかなりの本数のフィルムを使う。
当然のことながら表情を追いながらシャッターを切りまくるわけだが、相当な無駄撃ちも
承知の上でシャッターを切っているわけだが、いずれいい表情をしてくれるものである。
それを、シャッターも切らないでじっと待たれたのではモデルもたまったものではない。

 最後に私の撮るポートレートには、カメラ目線が少ないことに気づかれた方も多いので
はないでしょうか。一人の女性をモデルに色々な表情や増しては感情を感じ取ってもらい
たいので、あえてそのようなレンズを見てニッコリの写真は避けるようにしている。
ただし、目線が来ている写真でも何かを感じてもらえれば・・・・と思っている。
要するに、お見合い写真のようなのは無いということですね。

 その辺のことを、ちょこっと頭の片隅に置いてGalleryを見てもらえればと思います。


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