ポートレートとVサイン
基本的に私が撮っているポートレートは商業目的ではありません。簡単に言うとモデル
の着ている服やアクセサリーの宣伝用ではないので、モデルのポーズに対して制約がある
わけでは無く、自由に好きにすればいいのですが、これがくせものでして逆にどのように
すればいいか悩んでしまうのですよ。
とは言っても記念撮影ではありませんから、有名建築物や絶景を画面に入れて、その前
で突っ立って、ハイ!チーズじゃどうしようもありません。
記念撮影では、特にポーズを取ることなど考えたこともないのが普通ですから、すること
と言ったらお決まりの「Vサイン」ですね。
観光地ではいったい一日いくつ勝利のVサインが見れることやら・・・・
一応ポートレート撮影の時はきれいな場所を選びます。自然があって、その中に近代的
なものもあったり、ベンチがあって・・・・と。でも、普通おんなの子が森の中で一人に
っこりなんてしないんですけど、日常的なロケーションはスナップにおまかせすることに
して。
モデルのおんなの子のポーズですが、例えば奇麗に咲いた桜をバックに撮ろうと決めて
モデルを逆光気味の位置に立たせ、花も透過光で生き生きと輝き出して、レフ板もバッチ
リ効かせました。
さて、貴方がモデルの立場ならどうしますか?経験の無いおんなの子の場合は、多分直
立不動で棒立ちになってしまうことでしょう。こっちが、「適当に動いて!」なんて声を
かけようものなら、ますます、どうしていいか分からなくなってしまうのではないでしょ
うか? 中には天性のタレント性を発揮するおんなの子もいますが珍しいですね、そんな
モデルを発掘したらまさにラッキーです。
そのような、まずい状況に陥りかけたら、2,3歩後ろに下がってもらい、形のいい枝
の下に立ってもらうと、目の前には桜の花が・・・・ その花を触ってもらったり、匂い
をかいでもらったりと、動きを付けやすくなります。このように指示をしてあげるとさっ
きまで、カチコチだった表情もリラックスしてきますし、雰囲気にも慣れてもらえます。
そんな感じで、結局必然性のある動きをしてもらえればいいんですね。その動きの助けと
して何でも利用できると思うんです。公園なんかだといくらでも転がっています。
あと、カメラを向けられたら、レンズを見つめなければいけないと、思い込んでいる人
が多いみたいです。街に溢れるポスターを見てもそんなルールはないことに気づくと思い
ます。
「レンズを見ないで、視線は・・・・」 これもどうすればいいのか分からないみたいで
すね。遠くで遊んでいる子供達の姿を追ってもらうとか、ずっと昔のことを思い出しても
らうとかね。例えば小学1年生の時は何組?(ほらっ、遠くを見る目になったでしょ)
と言うわけで、ポートレートの撮影では「Vサイン」をするわけには行きません、でも
それを取り上げたらすることがなくなってしまうのでは困ったものですね。
本格的なポートレートに限らず友達同士でのスナップでも、ちょっと気の利いたポーズの
ひとつやふたつ出来るようになっていればいいと思いませんか。
面白い話があります、モデルとして活躍しており、レースクイーンもやっているおんな
の子と、ポートレートの撮影をしてまもなく鈴鹿サーキットで偶然に会いました。
そこで、モデルとしてではなく、決勝レースのスタートが終わってホッとしている時にカ
メラを向けたら、普通のおんなの子のようにVサイン!をしてくれたのです。
このVサインはある意味では貴重なカットでした。
友達の”たまごっちの”のことを話してくれたりと、華やかな世界にはいるけど、普通の
おんなの子と少しもかわらないんですね。