写真集「RIONA」を見て
少し、間があいてしまった。先日の撮影会で撮った中から200枚をスキャニングし、一部を
NIFTYへアップロードしたりしていたのだ。
今日は、生物は新しいうちに料理せねばと言う事で、今日発売となった葉月里緒菜の写真集の
「RIONA」のファースト・インプレッションを思いつくまま書いてみよう。
まず、この葉月里緒菜って女優は実にいい。4,5年前になるだろうか、デビューして間もな
い頃にTVで見て、いい目をしてるなと思い注目してきた。
篠山紀信氏では以前の宮沢りえ以来の話題作であると思うし、峠を越えたタレントの一発逆転
狙いではなく、正に旬である。
当然撮り手も力が入るのは予想できるし、是非見てみたいと思ったのである。
では、写真集についてであるが、巻頭を飾るのは超スローシャッターでわざとブラしたドアッ
プが3枚。
それから、しばらくは王朝貴族の住んでいた部屋のような所での写真がしばらく続くが、ハイ
ライトが効果的に使われている印象を持った。しかし、シャドウ部分もラチチュードの範囲で
しっかり再現されていて抜かりはない。。窓から射す光線をアクセントに変化をつけているよ
うだ。また、金レフを使っているカットもあり、金の調度品とからめて重厚な雰囲気で見せて
いる。
次に、室内照明だけに変わり、高感度フィルムを増感した感じのザラついた粗い表現で、夜を
演出している。
前半が終了しモノクロページとなるが、硬い調子と柔かい調子の対照的な構成となっている。
今度はガラッと変わって人影も無い早朝の海岸にシーンは移る。朝の低い太陽ならではの順光
撮影だ。順光となると朝夕に限られるが、私は朝と見た。葉月里緒菜よりデカイと思われる黒
い犬との絡みであるが、彼女もまた黒っぽい毛皮のコートを羽織っての登場だ。
後半なると、私の期待していたハイキーの世界に導かれる。撮影場所はホテルの一室であろう
か。オールヌードではあるがノーメイクとなり年齢相応の女の子らしい表情に変わって、雰囲
気は一変する。やっぱり、ハイキーな表現にはすっぴんが似合う。白い肌の透明感もしっかり
表現されている。
ハイキーも度が過ぎるとあちこちに破綻が起きるのであるが、そこはサスガである。
清潔感あふれる写真が並ぶが、葉月里緒菜ファンの方はここがほっとする所であろう。
私もこの雰囲気は好きだ。
実際、私も最近ギリギリ肌の階調が表現できる程度のハイキー調に熱中しているところである。
その次は、青いシースルーの衣装での撮影となるですが、色の感じとしては自然光でのタング
ステン・フィルムではなかろうか。これは私も得意とする手法だがしっかり盗ませてもらうこと
にする。ひとつヒントを得たように思う。
ラストは、きつ目のメイクと官能的なポーズとなり光と影を巧みに使った表現となる。
そして徐々にブレを使った手法となり、巻頭の写真はこの流れの中のカットであった事に気付
かせてくれる。
私は露出度の高い写真集に興味無いので、充分に満足しているが、スレンダーな葉月里緒菜は
ボディーだけを見るとNudeの被写体としては、ふさわしく魅力的とは言えないのかもしれ
ない。しかし、いつも潤んでいるような目に巨匠・篠山紀信も魅力を感じて撮っているように
感じたし、顔を隠して身体だけの写真は本当に少ない。
あの目をフレームアウトするわけにはいかないはずだ。
ざっと見て書いてみたが、まだ教材としてじっくり見させてもらうことにするが、使用したフ
ィルムとレンズ、絞り値などを知りたいものだが、この手の写真集にはそんなデータが記載さ
れることは無い。だから、これからそれを分析する作業にかかる訳だ。
それと、膨大な量のフィルムを消費している事であろうが、未公開のカットを想像する作業も
楽しいものである。また、構図の研究も忘れてはならない。
TVで篠山紀信と北野たけしの巨匠対談を見たが、そこであの世界的に有名な篠山紀信撮影の
ジョン・レノンとオノ・ヨーコの最後のツーショット写真を北野たけしが分析していたのであ
るが、ダテに賞を取っていないと感心させられた。構図の妙を実に鋭く解説してみせたのだ。
そこで、篠山紀信は「構図は一瞬の判断で決めるが、そこは天才のなせる業」的な発言をして
いた。
それでは、これからじっくりお手並み拝見ということで・・・・
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