ファインダー視野率
私の愛機である、EOS−1N RSは言わずと知れたCanonのフラッグシップである。
そのカメラを使う者に与えられた特権として、ファインダー視野率100%がある。
この、100%のファインダー視野率とは、ファインダーで見た像がそっくりそのままフィルムに
焼き付けられるということである。
当然のことじゃないの?って思った人もいるかも知れない。では、Canonでは1−Nシリーズ
に次ぐモデルであるEOS5ではどうであろう、92%X94%となっておりファインダーで見え
ている情報よりもフィルムには広く写るということである。
これを100%にすると言うのはそう簡単にできるものではないのだ。他社ではNikonF5と
CONTAX RTSVがその100%を実現している。PENTAXやMINOLTAにはそれら
に対抗する機種は用意されていない。プロがNikonやCanonを使うのはそれがひとつの要
素といえるかもしれない。
しかし、最近はその恩恵に預かることがないどころか困った事になっている。それは最近は撮った
写真をプリントするのではなく、フィルムスキャナーでパソコンに取り込んでデジタル化すること
が非常に多くなっている。
以前はノートリミングでプリントしていたのだが、その時の習慣が抜けきらず、撮影時にはフレー
ム全体を使って構図を決定してしまうのである。それは決して間違っているのではなく、当然のこ
とである。
だが、フィルムスキャナーにフィルムをセットする時にホルダにフィルムを挟み込むがその時にか
なりそのホルダにフィルムのろこう部分が隠れてしまうのである。その結果スキャニング後の画像
はかなりの部分が消え去ってしまう。さらに1:1.5の比率にもなっていない。
当然ホルダーの陰になった部分が汚いので、回りをトリミングするのである、しかも1:1.5の
比率で。すると、フィルムには写っていた部分がシャレにならないほど無くなってしまうのだ。
縦位置で撮る事が多い私であるが、割とギリギリで構図を整えることが多く、撮った時の計算が狂
ってしまうのである。
いつも、スキャニング時にそれに気付くのであるが、いざ撮影となると忘れてしまいファインダー
内で完璧なフレーミングを追求してしまうのだ。
その現象の弊害として一番顕著に表われてくるのが、手の表情である。中途半端に切れてしまうの
は何とも惜しいのである。できるだけ上方を切って逃れようとするのだが、そうも行かないケース
も少なくない。
手の話題になったが、この手というものはバストアップの写真では名脇役として大活躍するのであ
る。全身の場合は脚も重要な要素であるが、上半身の場合は手はとても大事だと思っている。
いくら顔の表情が良くても、手がカチカチに固まってしまうことが不慣れなモデルの場合は多いの
で、なにか小物を用意したり自然に手が行くようなポーズを考える必要がある。
上手いモデルはこの手にも表情があり、しかも顔の表情を殺す事が無い。まさに名脇役を演じるの
である。
この手というもの、些細なことだと思われがちだが、手のひらは顔を覆ってしまうほど大きいので
ある。しかも、顔より前に出ることが多く広角レンズを使った場合など思ってもみないほど大きく
写ってしまうのだ。それでは主役の邪魔をしてしまうことになる。
そんなこんなで、撮った写真が無残に切れてしまうことは実に辛い事であるから、撮影時にもっと
余裕を持ったフレーミングを心がけなければならないのか・・・いまいち納得がいかない私である。