シャッター速度と絞りの関係


最近のカメラは高級なものだと1/8000秒とかが使えるようになっている。
これは、どういうことであろうか。動きのある物を止めるためにあるのだと思っている方は考えを
改めて欲しい。入門書などにはそのようなことが書かれているかもしれないが、それはあくまでも
「入門書」だからであり、本来の目的はそうではないと思っている。
それは、大口径レンズを開放で使うには、1/2000秒程度性能のカメラでは不可能なのだ。
だから、ボディーを安く上げてレンズをフンパツしても天気のいい屋外でのポートレートは開放で
撮れないという事態になるのである。もし、ISO400なんかを使ってたら完璧にアウト!だ。
せっかくの大口径レンズの性能を思う存分味わえないのだ、だからせめて1/4000秒が切れる
EOS55以上が欲しい所だ。写真はレンズで決まるとはいうものの、高いレンズは高いカメラを
要求するのである。
だから、写真をやってると言えば、「あまりお金もかからなくていいですね」と言う人と「うわー
お金のかかることを・・・」の2パターンあるが、はまるとべらぼうに金がかかるのだ。

シャッター速度と絞りの関係だが、フィルムのパッケージにはその組み合わせのパターンが記載さ
れている。
ISO400のフィルムの場合、以下のようになっている。

シャッター速度1/500秒における絞り値
 快晴時の海・山・雪景色  F/22
 快 晴          F/16
 晴れ           F/11
 明るい曇り        F/8
 曇り・日陰        F/5.6

さて、どうだろうか・・・
こんな考え方は30年前のもので今だに、キャリアだけ永い老Cマンには「今日は天気がいいから
絞りはF11だ」なんて言いながら撮影しているが、確かに露光量はあっているが、ただそれだけ
のことで写真の面白さの半分も使えていないことになる。早く気づいて欲しいものだ。
これは、単なる目安なだけであって、この値で撮りなさいってことじゃない。

私は絞りは出来るだけ開放に近い状態でポートレートは撮っている、だから当然速いシャッター速
度が稼げるわけだが、被写界深度はめちゃくちゃ狭いわけだ。だからピント合わせはかなり真剣に
やっているつもりである。しかしどんなにピントをばっちり合わせても、モデルが少しでも動けば
ピンぼけになってしまう。ピンぼけと言っても前髪にピントが来たり、向こう側の目に合ったりと
ほんの数センチなのであるが、元々ピント幅が狭いので目立ってしまうのである。
そんな写真はボツにしているが、有名プロCマンの写真を見るとかなりそんな写真があり、どう見
てもミスで、表現上意識的にピントをずらしたとは思えない写真がけっこう多かったりする。
有名にさえなれば、許されるのか? もっと上の段階に行っている人たちは多少のピンボケなんか
関係ないのかもしれない・・・・
もっと言えば、写真集「RIONA」で思ったのだが、意図的にシャッター速度を遅らせてブラす
テクニックもその撮り手を選ぶってことで、どシロートがやっても無駄なのだ。そんなことするぐ
らいならキリッとした写真が完璧に撮れるようになるこった。真っ直ぐが遅い投手がフォーク投げ
ても効果ナシ。

そんなこんなで、絞り込むと被写界深度も深くなるのを利用して、自分のミスをごまかそうとする
と、どんどんシャッター速度が遅くなって行くのである。1段絞ればシャッター速度は半分になる
のだからかなり危ないのである。せっかく絞ってピンボケを誤魔化したと思ったら手ブレの嵐って
ことになりかねない。なんともブサイクな悪循環である。

だから、私は大口径レンズの特権である、開放域での撮影に固執するのである。
ピントが思った所にピタリと合った時は、気分がいいのだ。そのへんはEOS−1N RSが有利
だと思っている。なにせシャッターが切れている瞬間がはっきり見えているのであるから、ブレや
ボケに気づくケースがある。RS以外のカメラでもミラーアップしてブラックアウトしている時間
は一瞬なのだが、その一瞬でも目の前に暗闇がよぎるのは邪魔なのだ。
そう、散々準備をして最後の総仕上げである露光の瞬間を見れるってことはすごい事なんだ!


<−戻る