フォカス面を考える


おおっ、今日は『ポージングは難しい その2』ではないのか?と思われた方もいるであろうが、
残念でした!・・・っていうかぁ、ちょっと手違いがあったのである。私は暇を見つけて少しずつ
書いているのだが、いつもはMOに入れて持ち歩くのを今日はテキスト・データだけだからと、フ
ロッピーに保存したのである。それが・・・そのフロッピーが壊れてやがったのだ、さっき仕上げ
をしようとしたら、開けないのである。仕方がないから、今日はオヤスミにしよっかなぁとも思っ
たがどうしても今週は頑張って連載したかったのである。せっかく新しいお客さんが最近増えてい
るのだから。

ということで、今回はフォーカス面についてである。フォーカス面とは、写真の中でピントが合っ
ているように感じる部分の事である。正確にジャスト・ピントの位置は一個所しかないのであるか
ら、あくまでも合っているように見える部分なのである。なんと引き出しの多い事か!?

私はサンダー平山氏風にできるだけ開放絞りでの撮影が多いのであるが、好きな写真集は何かと聞
かれるとリウ・ミセキ氏の一連の武田久美子の写真集なのである。元々武田久美子の気が強そうで
一筋縄ではいかないような顔立ちは好きであったが、写真がいいのである。長い間コンビで撮り続
けているだけに息が合っている感じはする。先ほど発売になった篠山紀信氏の葉月里緒奈の写真集
では、そんな感じはしない。どちらかというと、ずっと以前から撮りつづけている渡辺達生氏を起
用していれば、かなり違った印象になったのではないかと思う。話しをリウ・ミセキ氏の写真に戻
すが、武田久美子の“Lady Casablanca”,“Lady NewYork”“Lady Malaga”と揃えているが淡い
色使いや粗い粒子の写真もあるが、印象としては全体にシャープである。かなり絞り込んで撮って
いる事は明白だ。私が言い続けている「主役と脇役の理論」で主役以外はフレームアウトするか、
ボカすという基本的な考え方と正反対のスタンスである。だが、私は好きだ、この写真集が。
前編海外ロケであり、ボカしてしまうには余りにももったいないようなバックである。だがそのバ
ックに負けない武田久美子はたいしたもんだ!目が大きく顔立ちが派手であるからバックに食われ
ることは無い、日本人離れした肢体はもちろんのこと。並みのモデルであったなら完全にアウトで
あろう。
印象としては絵画的とでもいうのか・・・ ハッキリ写っているバックは完璧に計算されていて、
一切無駄なモノは写り込んでいない。ウーン最強のコンビだ・・・・

そこでだ。私のように開放付近で撮る場合、当然被写界深度は浅くなりピントの合った手前の目以
外はボケていることが多く、シャープな印象はあまりないのだ。しかし、安易に絞り込むなんて馬
鹿な真似はできない。私のには海外ロケも武田久美子もないのであるから。

そこで浅い被写界深度の中でいかにシャープ感を出すか。それはピンとの合う範囲を広げればいい
のだ、それも二次元的に。ピントを合わせたいものをフォーカス面に持ってくるようなポジション
をとればいいのだ。
しかし、33話で書いたように、実際にファインダーで見た以上にボケるので注意が必要である。
ちゃんとシャッターを切る前にしっかりと確認したいところだ。

このようにリウ・ミセキ氏に少しでも近づこうとした場合、バックとしてボカしていたものをフォ
ーカス面に持ってくる事になるが、これでは私の言い続けている「主役と脇役の理論」は崩れる。
そこで、都合のいい性格の私はためらいもせず「主役はモデルと花さ」と言ってのけるのであった。

同じモデル主役でも、フォーカス面を多く取ればシャープ感はぐっと増す。
フォーカス面が浅くなる大口径レンズでのアップの場合でも、モデルへのアプローチの仕方によっ
ては、フォーカス面を広く取ることは可能なのである。
今、最高に気に入っている、EF135mmF2L USMを使って撮影する時に挑戦するにはも
ってこいのテーマである。

また、シャッターを切る前にチェックするポイントが増えてしまったな。 エヘッ


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