前ボケで遊ぼう


一般にはバックにボケが出てその前に立つモデルにピントが来ているのが普通である。簡単に言う
とモデルとレンズの延長線上に何も遮るものが無いのが常識となっている。
しかし、フィルターはその遮る物体であるが、誰もそんなことは意識していない。

その遮るものがフォーカス面に近ければ、そのままの姿を現すが、離れていればその時使用してい
るレンズの焦点距離や絞りに応じた形のボケになるのである。

私は、一回の撮影で必ず前ボケ狙いを最低でも3回は試みている。前ボケは急に思いついてできる
ものと、そうでないものがある。どうぞ使って下さいと言わんばかりに、透過光に輝く花びらや葉
っぱがあると、私はついその影に大きな身体を隠してしまうのである。

私は、ただ何も考えずに、与えられたシチュエーションでの撮影はどうも向いていないらしい。
落ち着きが無いと昔から言われつづけただけの事はあるわい。すぐに、あちこち見回してしまうの
である。そして、めぼしいモノが無いと、今度はポケットをまさぐりだすのだ。
「おっ、ティッシュがあるではないか。」この薄い紙切れを私に持たせたら、この紙切れの命はな
いのである。二枚重ねのティッシュをそっとはがすと、薄い羽根のようなヒラヒラができる。それ
を切り刻んで望遠レンズのフードに付けたクネクネ・クリップにはさむのである。そして、ファイ
ンダーを確認しながら下の方が少し白っぽくなる程度に位置合わせを行う。これが『白い霧作戦』
である。
ここのJoe's galleryでも一部が白くぼやけている写真を何点かアップしているので、
探してみて欲しい。例えば、この優子ちゃん

クネクネ・クリップは手当たり次第に目に付いたものをはさんで、前ボケに使うのには便利である
が、シート・フィルター用のフォルダーの方が薄いものは安定して使いやすい。花びらを拾っては
さめば、その花びらの色をしたフィルターの効果が得られるし、セピア色したシートをはさんでも
面白い。これは沙紀ちゃんでやっている。

最近はクネクネ・クリップにソフト・フィルターをはさむのに凝っている。
効果のほどは、ともちゃんの写真を見て頂きたい。このクネクネ・クリップの場合は、前玉との距
離を調整することによって、ソフト効果を絞り値を変えずに調整できる。
また、この使い方はモデルの目元はシャープさがあり、その下の部分にソフト効果を出すのが目的
である。
注意して欲しいのは、ファインダーで見たソフト効果と、仕上がった写真とはまったく違うという
事である。当然のことながらファインダーで見る方がソフト効果は弱く見える。それは今まで何度
か書いたが、開放付近ではファインダー上でボケが再現しきれない最近の明るいフォーカシング・
スクリーンのせいである。
どの程度の差が出るかは、私のようにマメに色々試す以外にマスターできないのだ。
この、試行錯誤が楽しいではないか! Photoshopで、サッサとやって何が面白い?
私は、写真をデジタル化してPCで処理し出して、まだ1年にしかならない。このようにネット上
で写真を公開する場合の作品としては、Photoshopで何をやろうと良いと思うのだが、ス
トレート写真で勝負する、本当の写真道の姿ではないと思っている。

私にとっては、ほとんどの物が前ボケの小道具になり得るのだから、突拍子もないお遊びをするこ
とも多い。そんな私の姿を見た時は、その日の撮影は納得のいくものだったと思ってもらっていい
のだ。余裕があるから、遊んじゃうのである。または、まったくモデルが気に入らなかった場合も
ある。こんなことでもしないと、やってらんねぇーなぁ。

今日のオマケ画像はそのお遊びのひとつであるが、東急ハンズで買ってきたフォノグラム・シート
で作った、自作フィルターを直射日光に照らして虹色の光を作り、それを前ボケとして使ったもの
である。これは、仕上がってからのお楽しみモードであって、撮影時にはどの程度上手く効果が出
るかは、あまり分かっていないのである。
このフォノグラム・シートは私の楽しみのひとつであるルアー・フィッシングでシーバス(スズキ)
を釣る時のルアーをキラキラ輝かしてやろうと思い買って来たのが大量に余っていたので、暇にま
かせて作った物である。
何事も、人と同じことをしているのが嫌いな私なのである。


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