測光インジケーターを使いこなせ


現在の一眼レフの多くはファインダーに、測光インジケーターが備えられている。「その測光イン
ジケーターってなんや?」って言っているようでは、使いこなしていない証拠である。
しかし、それほど卑下することもないのである。メーカーによってはそれほど重要という意識を持
っていないのが現状であるから。
しかし、私が常用しているスポット測光と、この測光インジケーターが私の撮影スタイルの基本と
考えている。また、多分割測光より自信を持って使え、信頼しているのである。
その測光インジケーターだが、マニュアルの時代は指針が動いていたのだ。今のカメラはデジタル
表示となってファインダーを覗くと下か横にあるはずだ。±0を中心にプラス側とマイナス側にス
ケールが何段か刻まれている。図で書くとこんなイメージだが、これでピンと来た人もいるだろう。
−<‥+‥+‥+‥+‥+‥>+
 3 2 1 0 1 2 3

その前に、リバーサル・フィルムのラチチュードのことを説明する必要がある。分かりきっている
方は流してもらえばいい。
ラチチュードとは、フィルム上で再現できる露光範囲だが、それがほぼ±3段で全体で6絞り分が
目安である。
だから、+3段では白は真っ白に飛んでしまい、−3段では黒は真っ黒につぶれてしまうと基本的
には考えてもいい。あくまでも、目安であるが、そう覚えておいて問題はないと思う。
付け加えると、白を白に黒を黒に再現するにはそれぞれ、プラスとマイナスで2段を目安にする。
以上は、リバーサル・フィルムでのことであり、ネガではないのであしからず。

それから、この測光インジケーターだが、その存在をどう考えるかが問題なのである。プラス側に
あれば露出オーバーで、マイナス側にあれば露出アンダーと単純に思って欲しくないのである。
それは、ゲージの中心である±0の位置を適正露出と思っているからであって、第一適正露出は何
が基準であるのか考えると、ナンセンスなのが分かる。それは反射率が18%のグレーを基準とし
ているだけであって、いい写真が撮れるという意味ではまったく無いのである。

私はポートレートを撮る場合、フィルムにもよるがプラス1.5段を中心に露出補正をかけている。
EOS−1Nの場合、1/3刻みが可能なので、+1,+1・1/3,+1・2/3,+2辺りを随時切り替
えて使っている。すると、その補正値がファインダーの測光インジケーターに指標として現れるの
である。
撮影時は、主役であるモデルの顔でスポット測光するので、そこでAEロックをかけると測光イン
ジケーターの指標が基準となり、顔の明るさなのである。(当然、先ほど補正した値の位置に指標
はある)
AEロックをかけたまま、スポット測光エリアを構図内のあらゆる所に動かすと、そこの明るさが
測光インジーケーター内に表示されるのである。それでバックの森は黒くつぶれるのか、再現され
るのか、あるいは明るい空や白いブラウスは完全に飛んでしまうのか、多少でもトーンが残るのか、
などが、判断できるのである。

ここまで、説明すればわかると思うが、微妙な部分はプラスとマイナス側の2段から3段のレンジ
なのである。しかし、この部分を省略した測光インジケーターを装備しているカメラがなんと多い
ことか・・・ メーカーにその理由を聞いてみたいものである。もし、「弊社の多分割測光を使って
頂ければ、まったく問題なくきれいに撮れます」なんて答えが返って来たとしたら、完全に設計者
はユーザーをなめきっているのだ。
そこまで使うユーザーが少ないから省略したのであろうか・・・・ クルマのスピードメーターは
180km/h以上刻まれてるで!タコ・メーターだって・・・・ どっちもリミッターが効くの
で、そこまで行くことは、私のような者を除いてはいないのにもかかわらず・・・・
でも、GT−Rを買って、100km/hまでしかメーターがなかったら・・・・淋しいで!
その気にさせてくれなけりゃ、カメラも同じではないか?±3段にするのにどれだけコストがかか
るのかは知らないが、メーカーさん、どんなもんでしょう・・・?

それでは、各社の主力一眼レフの測光インジケーターをチェックさせてもらいましょうか。

◇ Canon EOS−1N
私の愛用しているボディーであるが、ファインダー右に縦に±3段あり、表示も大きく使いやす
 い。EOS−1系で私はスポット測光の奥義を覚えたのであるから、使いやすく思うのは当然で
 あが、優れているといわざるを得ない。

◇ Canon EOS5
 残念ながら±2段表示である。こんな所にフラッグ・シップ機との差別化が・・・

◇ Nikon F5
 おっと、プロ仕様とは思えない±2段表示!これは驚きである。表示も小さく見にくい。
 Canonとは考え方が根本的に違うのであろう。しかし、その考え方は私には理解できない。
 F90では±1段しかなかったのである。不思議なトップ・メーカーだ・・・

◇ PENTAX MZ−3
 堅実に±3段表示だ。Z−1Pが±2段であったから、いい進歩はしているが、私は昔のマニュ
 アル機のような操作には疑問を持っている。中間シャッターが選べないのはどうかと思う?

◇ MINOLTA α−807Si
 これも、残念ながら±2段表示である。下位機種の507Siが±3段表示だけに、もったいな
 い。最近のミノルタのカメラはユニークな機能を持っていて、AEロック・ボタンを押すことに
 よりその時の測光モードで露出がロックされ、同時にスポット測光に切り替わって、あらゆるエ
 リアで、輝度差を測光インジケーターでチェックできる。使いこなせれば便利そうだが、返す返
 すもレンジが±3段表示欲しかった。 次期907Siに期待度◎!

◇ OLYMPUS OM−4Ti
 他社とは違い、マニュアル機の登場だが、このカメラを抜きにして、多点スポット測光と測光イ
 ンジケーターは語れない。
 レンジの広さも±5段分とたっぷりである。絞り優先AEではちょっと癖のある動きをするが、
 8ヶ所までのスポット測光域を記憶することが出来る多機能バージョンである。
 しかし、このメーカーはどこかが違う。


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