自由な発想


最近、新しく写真をはじめたおんなの子達と知り合い、圧倒されるほどの猛勉強をしているのだ。
芸大に通って本格的に勉強しているので、私のように我流ではなく、エリートコースをまっしぐら
ってパターンである。
しかし、少し話を聞いてみると、ちょっと待てよ・・・って感じがするのだ。

日本人は英語が苦手であるが、それは日本の英語教育とその英語力を試す試験の内容が間違ってい
るからだと私は確信しているが、それに近い印象を持ってしまったのである。
だから、どこをどうしろと具体的に言えないのがもどかしいのだが、何かが違うんだよなぁ。

いっぱい書物を読み、これは良いこと、悪いことという既成概念に縛られている傾向があることに
気づいたのである。例えばこんな事があった。奇麗な色を出したいという話題で、青を鮮やかにし
たいのだが、フィルムでも違いがあるのか?って言うので自然光でタングステンを使っても面白い
と私が言うと、タングステンのフィルムは自然光では使ってはいけないと本に書いてあったという
反応が即座に返ってきたのである。確かに、タングステン球でライティングされたモノを写すため
に作られたフィルムではあるが、自然光で使ってはいけないなんてことはないわけで、特性を上手
く利用できさえすれば、面白い効果が得られるし、実際多くの作品はそうやって創られている。
もっと、自由な発想でいろいろやってみて欲しいと思ったのだ。私は人がやらないことをするのが
ダイスキである。

また、大学ではどんな授業をしているのか私は知らないが、たいした授業ではないように感じた。
露出計について習ったというので、私が入射光式と反射光式があるけど、カメラに内臓されている
のはどっち?ってこれ以上ないってくらい初歩的な質問をしてみたら・・・それがよく分かってい
ない。 なんてこった!ってわけで私が説明したのだが、その方が理解しやすかったと言うのだ。

先生!たのむで!!頭のいい大学の先生より、私のように誰からも教わったことがなく永い時間を
かけて独学で覚えてきたドシロートの方が、これから覚えようとしている若い人の気持ちが分かる
し、どう説明すればイメージが掴みやすいかも身にしみて分かっているのと

私は、元々教えるのは好きである。コンピュータの教育であちこち回った経験もあるが、その時も
分かってもらえていたように思える。それは私自身難しいことがすぐに理解できるほどオツムが高
級にできていないからだと、妙に納得しているのである。
賢いエリートが思いもつかないことが凡人や初心者には分からないのである。だからと言ってどこ
が分からないのか、エリートには一生理解できないのであるから、いつになっても教え方が上手く
ならないのだ。
で、最終的には丸暗記という最悪の方法で試験に挑み、試験終了と同時に忘れ去られてしまう。
そう、理解すると覚えるはまったく違うのである。理解さえしていれば覚える必要などないのだ。

それと、彼女たちはかなり具体的に当面の目標を持っていることに驚いたのだ。出版社に写真を持
ち込みたいのだとか・・・ ものすごい向上心にタジタジである。
しかし、そんなモノであろうか・・・? 私はもっといっぱい写真を撮って自分の撮影スタイルを
見つけてからでも遅くはないと思うのだ。そのためには多くの作品に触れ、自分で撮りまくらなけ
れば、絶対に到達できないことである。今はまだ自分を見つけることを一番やるべきだと思う。

EOS kissと28−80のズームを使っているらしいが、それでいいじゃないか。とにかく
今はカメラを使い倒して欲しいと思ったのである。学生ではLレンズなんて高嶺の花であるが、そ
んなモノを今から使う必要はまったく無い。ただひとつEF50mmF1.8Uを薦めておいた。
¥12,000という定価だから学校で買えばもっと安いはずである。これなら2,3日バイトす
ればなんとかなってしまう値段だが、この一本でどれだけ勉強になるかを考えたらすごいコスト・
パフォーマンスだと思う。私も小学生から10年近くこの50mm一本でやってきたし、私の写真
の原点は50mmなのだ。
標準ズーム世代の若い人たちには、是非この50mmF1.8Uを邪魔にならないから持って欲し
いのだ。1万円以下で大口径レンズの世界が楽しめ、ズームで鈍ったフットワークを養うことがで
きるのだ。
それから、もう一人EOS5を持っている子もいたが、友達同士で同じメーカーにするのは大正解
であろう。レンズが貸し借りできるってことは、大きな楽しみじゃないか。
みんな頑張って欲しいものだ。

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