『素顔のままで』第14弾 -後編-


毎回、天気予報とにらめっこになってしまうのが撮影前なのだが、今回は大型の台風18号が接近
しているので、いい天気なることは最初から期待していなかった。そういう無欲がいいのだろうか、
私が描いていたイメージ通りの天気に恵まれたのである。

それは、決して晴ればかりが撮影日和ではないということだし、水着撮影だからといって青空の下
で撮ることがいいとは限らないのである。それは負け惜しみでもなんでもなく。今回の撮影ポイン
トとして選んだ島根県の畳ケ浦は、前回ロケハンした時にこれは晴れてるより曇りの方が似合いそ
うだと思っていたのだ。

まぁ、それは前回の砂浜での撮影が快晴だったことで余裕が出たってことも、ひとつの要因なので
ある。このように2回に分けての撮影になったが、同じような天気で場所だけ変わっても面白くな
いじゃないか。それに、私たちのコンビがどう対応したかも見てもらいたいところだ。

週間予報をチェックしていると、今度こそ晴れは期待できそうも無いので、私は完全にどんよりと
した空の下での撮影パターンを創ることにした。
そうなると、曇り空の下で水着ではしゃいでもおかしいし、それは前編でやっているから、後編は
しっとりとしたパターンで押し通すつもりであった。
ただ、この2回の水着撮影だが、30本以上のフィルムを消費したのだから、完結させる意味のシ
ョットも欲しいと考えており、それは前回の撮影ではあえて撮らずにいたのである。
前回は、まなちゃんが疲れ気味であったこともあり、早めに切り上げていたので、この後編の最後
にそれを撮ろうと思っていた。
ただ、私の頭の中には夕日を絡めたシーンがずっと離れずにあったのである。

さて、撮影当日であるが、予想に反して朝から日が差すことになってしまったのである。しかし、
三次を出発して島根に向かう道中で徐々に厚い雲に覆われだしてロケ地に着いた時には、すっかり
曇り空になってしまった。しかし、今回は元々それを想定していたので、まったく落胆することは
なかった。撮影を始めてしばらくすると、雨が降り出してきたのだが、今回はビーチパラソルが日
よけではなく、雨宿りに使われることとなった。雨が小降りになると少し撮っては、肩を寄せ合っ
ての雨宿りという状況が続いたが、私のイメージした通りの撮影は出来ていた。

秋分の日で日本海は文字通り秋の気配を感じる状態で、水温もかなり下がってきたが、まなちゃん
は海の中に入ってくれた。朝から鼻炎で鼻水が止まらなかったまなちゃんだが、頼もしい限りだ。
もちろん、雨の中私自ら、胸まで海に浸かって撮影ポイントのチェックもしたし、撮影中も一緒に
海に入ったのは言うまでも無い。
それに、今回は軽量の自作レフを使っているのだが、それは広い岩場の浅瀬をGITZOの三脚に
固定させたレフを持ち歩くためである。さらに海の中にGITZOをほとんど沈めてしまうような
強行手段も取っているのだ。私の胸あたりまでの水深であるから当然のことだが、ここでケチって
ストロボで代用しようなどとは考えもしなかった。
錆びようが腐ろうが、この場所のこの瞬間は二度と来ないのだから、もったいないなんて思ってい
たら、マンツーマン撮影なんぞできない。

最高のロケーションである畳ケ浦全体を、貸し切った状態での撮影となったが、夏休みであれば、
到底考えられないようなことで、まなちゃんも水着の着替えがその場で出来たし、背景に邪魔な人
影が写る心配もない。前回のような明るいビーチでは、多少の人影が写っても問題ないが、今回は
それでは困るのである。

3時を過ぎたあたりから、西の空の雲が切れ始め、晴れ間がのぞきだしたのである。この畳ケ浦で
は、トップライトのドピーカンでは撮りたくなかったが、夕日となれば大歓迎であるし、私の頭の
中にあった、水着撮影のラストシーンがそのまま目の前に広がったというわけだ。
台風だって、普通の速度で北上していれば完全に、暴風雨に見舞われていたところを、九州の南で
停滞してくれたことで、まず助けられ、さらには夕日のプレゼントまでくれたということだ。。
今日の昼に台風情報を見ると、ちょうど私たちがいたその場所を台風が通過していたのである。
九州、沖縄の人たちには申し訳ないが、本当についていたとしか思えない。

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