今年の足跡


私の撮影で、今年になって新しく加わった機材がいくつかあるが、今までの私とは違ったアプロー
チで揃えていったように感じる。
すべては、イメージの中にあるものを具体的に再現する為に必要であるから買い足したりリストラ
しており、フィルムだって新しい銘柄を使い出したのは、それなりの理由があってのことだ。
早い話が、撮影上のイメージを再現するための目的を持った機材の選択ということだな。

今までの私であれば、コニカRFの目新しさ?に思わず買ってしまっていたかもしれない。
しかし、あれで新しくイメージが広がるとは今は思えないので、特に欲しく無くなっているのだ。
その点、今年の春にかったフォクトレンダーベッサLと超広角スーパーワイドハリアー15mmの
セットの方がお気に入り度は断然高い。
あまり使っていないではないかと言われそうだが、まなちゃんとこっそり決めている大きな計画が
実現すれば大活躍してもらうことになっているのだ。

フィルムだって、ISO1600を使い出したし、プロビア400だってISO感度を稼ぎたいか
ら使っているわけではない。あの色と描写が欲しい時に使うのである。その証拠にバックの中には
RMSもしっかり準備していて、増感目的の時はそっちを使うのであるから。
また、夏以降はメインフィルムもフジ系から、コダックのダイナハイカラーに移行した。
肌の色がフジ系に比べて黄色っぽくなるようだが、LS−2000とのマッチングもよくしばらく
はこいつを使ってみるつもりだ。

レンズに関しては、今年に入ってフォクトレンダー用の15mmを除くと3本追加したわけで、シ
グマ28mmF1.8 IIの単レンズとEF300mmF4L IS USMとEF28−135mm
F3.5−F5.6 IS USMのイメージスタビライザー付きの2本ということになるが、しっ
かりそれらは使わせてもらっており、無くてはならないレンズとなっている。

また、今年はまなちゃんが看護学生になって、広島に引っ越すと言う大きなイベントがあったが、
私たちの間では、『素顔のままで』の終わりを意味するものにはならなかった。
途中、ペンションでの一泊撮影の直後から、新しくゆみちゃんとの撮影が開始されたのであるが、
それはそれで、私の中では何の変化も起きていない。
明らかに目的が違う撮影であるし、この二人を比べること自体がナンセンスなわけだ。

だから、まなちゃんとの撮影で出来なかったことを、ゆみちゃんで実現しようとか、その逆の考え
も私には存在しない。だから、撮影中に意識の中では何ら変化は無いのである。
もちろん、技術的にはそれぞれの撮影で得たものがフィードバックされる。

私は、個人撮影の場合撮りたいと思えるモデルしか興味が湧かないのであるが、それは誰でも同じ
ことであろう。誰でも選り好みせずに撮る人などいるわけも無く、いたとしてもいいものが撮れて
いるとは、到底思えない。
これはあくまでも私の考えであるが、仕事で撮影を依頼されたのでない限り、そんなことはごめん
である。

私の場合、写真の完成度というものよりも、そのモデルのいい所を引き出せた撮影に価値を感じる
わけで、それは私の今の状況に近いものを実際に味わったことの無い人には理解できないことなの
だと、徐々に分かってきた。
もともと、その傾向が強かった私であるが、それが『素顔のままで』の撮影に入る前ごろから確固
たる姿を伴って吹き出したということだ。

当然のことながら、ライティングや構図などについても拘っているつもりであるが、それより大事
なものを見つけてしまったのだから仕方の無いことである。
また、この私が見つけたものは誰でもそう簡単には見つけることが出来ないものであって、それは、
たとえプロカメラマンといえども同じだと思っているし、写真に求める重要なポイントをどこに置
くかの違いである。教科書通りの人もいるだろうし、金儲けの人も、自分の率いる集団の発展の為
の人も、それなりにつきつめてもらって結構だし、私に対しての意見も伺おうじゃないか。
しかし、私はちょっと違う隠された小道を見つけただけのこと。
それほどの宝物を見つけ、広島は三次の地にこっそりと隠しているような心境である。

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